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改革待ちー中国版『ゴドーを待ちながら』

Posted on October 13, 2013 By 何清涟 No Comments on 改革待ちー中国版『ゴドーを待ちながら』

何清漣氏 @HeQinglian

2013年10月11日

全文日本語概訳/Minya_J Takeuchi Jun

http://twishort.com/kMcec
2013年10月13日

習近平は10月7日 、インドネシアで「中国は大国で、決して一度犯したら取り返しがつかない様な根本問題で転覆するような間違いはしない」と語りました。言いたい事は明白で習近平が帝位について以来の現在の政治路線を引き続き堅持し、現在の中共イデオロギーと権力構造を守るというものです。しかし、政府側メディアから香港の「南華早報」や鳳凰網などみな「改革」の使徒のように全世界に「中国はすぐにでも本当の改革に乗り出す」というニュースを流しています。これはまるでかの「ゴドーを待ちながら」並の荒唐無稽さです。

《中国政治のいつものお話;改革が始まる》

『ゴドーを』はベケットの不条理演劇の傑作劇で一九五三年パリで上演されて後、一種の哲学的境地を拓いた作品です。この不条理劇と中国の「改革待ち」は極めてそっくりなのです。「ゴドー」の主要登場人物は2人の浮浪者で木が一本立つ田舎の一本道が舞台、「神に見捨てられた場所」と呼ばれる。筋は簡単で2人は自分達が全く知らない「ゴドー」と呼ばれる人物を待っている。それどころかゴドーがはたして本当に存在するかも不明なのでした。

2幕劇の内容はほとんど重複しており、幕の終にはどちらも自称「ゴドーの使者」と名乗る使いの牧童が現れ「ゴドーはくるのが遅れているが必ず来る」という。この他に登場人物は地主のポッツォと従者・ラッキーがいます。ポッツォはラッキーに「思考せよ」と命令し、それには人類の普遍的問題である「人類の苦難と神の全能と慈悲の関係」も含まれます。しかしこの待つという徒労の行為を終わらせる事はできず、劇が終わるまでゴドーは登場しないのです。

「ゴドー」は中国の政治改革です。ゴドーの言づてを伝える使者の牧童は「改革はもうすぐだ」と伝える中国の各種メディアや論者です。昔といわず2012年18回大会から始まってずっと誰かが様々な理由から「指導者の心中には改革の青写真がある」その狙いは国民に引き続き期待をもって待つようにとすることで、毎回、習近平が講話を行う度に、すぐさま「改革」はもうすぐ始まる、と伝えたのでした。

「ゴドー」の劇中、2人の浮浪者は「恐怖の静寂から距離を置く為に」様々な話題を討論します。何度も争い、和解して、また争いまた和解しという過程を繰り返し耐え忍びがたい時間を、自殺の可能性など話あって時間つぶしをしています。この光景は中国の色々な人々が習近平の改革がどんな方向になるだろうと憶測し討論している姿、習の父親がどうだとか、習夫人が人気があるとか、娘がハーバード大の学生だとかをもって改革への希望の要素だとかいってるのと似た様なものです。

習近平がはっきりソ連崩壊の教訓を汲み取り、「1人の男もいなかった」とソ連共産党を風刺しているにもかかわらず、まだ人々はその習近平が馬鹿にしたゴルバチョフになることを期待しているわけです。

《中国人が待つ”ゴドー”は誰?》

”ゴドー”は誰なのでしょう?それは未来の希望、あこがれの象徴であり、人々はその到来をまちわびています。この希望は多分人々の生活の動力であり、奮闘の目標であるのでしょう。異なる人々、違った民族では”ゴドー”の待ち方に違いがあります。史上3度の国土分割を受け他国の支配下にあったポーランド人がこの劇をみればそれは彼らが求めて止まなかった民族の自由と独立でしょうし、監獄の中の囚人ならば自由の回復が自分の待ち望むゴドーなのでしょう。

中国人の待ち望む”ゴドー”の名は「改革」です。しかしこの言葉の中味はそれぞれの利益集団の差異から違ったものになります。鳳凰ネットの上で「十八回党大会3中全民間調査」のアンケートでは政治改革は質問から外されていました。それでも、調査対象者は十八回3中全は実質的な改革措置があるか?」という質問には「ありえない。情勢が複雑で改革は一歩も進めない」という答えが53.46%を占めました。(十月十日現在)

習近平の一貫した政治主張と言論を総合すると彼のいう「転覆性のある間違い」は中共の一党独裁専制体制の堅持と、ソ連のような間違いで政権転覆し政権を失うようなことはしない、と理解すべきです。

習近平と中国の政治トップが如何に中国の政治の現状を評価しているでしょうか?
中共の理論的中心雑誌の「求是」のネットは8月20日に「大西洋月刊」;「習近平はゴルバチョフではない」として外国人の口を借りてこういってます。「中国の30年来の改革開放のその深さと広さははるかにゴルバチョフの提起した改革の内容を越えており、西側はその改革の事実を認めまいと隠している。ただこの深刻な変革は経済面に限られており、ソ連のような末路を辿らない賢さを中国はもっている」。

つまり、「中国の改革はとっくにゴルバチョフの改革を越えた」なら当然、「もうゴルバチョフに学ぶ所は何もない。なにが革新しそうだの政治改革などという必要があるのかね?」というのが中共のハイレベルの高官の現在の態度なのです。

《「待っている」こそ最高の社会の鎮痛剤》

習近平が政権の座につく前、そのお使い役達の口にした「改革」という言葉はそのあとこっそりと内容に重大な変化をきたしてきています。最初はお使い役達は「改革」の前に「政治体制」と付け加えて定義しました。それは習近平がある時期に一党専政を放棄して政治改革をやってほしい、という願望だったのでした。後になって段々、「体制」の二文字が消えて、「政治改革」になったのは、せめて反腐敗と中央省庁の、例えば衛生部等のあまり根本的なものではない部分で改革をすすめてなんとか政治体制改革という政府の合法性に関わる部分の代わりにしてほしい、という願いでした。近頃では改革はもう完全に経済改革だけになって、金融、国営企業、土地、養老年金の内容が習改革の内容のすべて、になりました。これらの改革は江沢民時代からとっくに始まっていたわけでして、まるで皆が期待していた「政治改革」とは全く別のものであることはすっかりわすれたような顔をしています。

習近平が世界を誤った理解に導いてしまったのでしょうか?とんでもない。習近平は胡錦濤のような曖昧な言い方はせず、はっきりとものをいいます。彼は西側民主政治を「邪道」だと何度も「その道は歩かない」と断言しています。習の「靴論」(*爺注;靴と同じで各国が自分にあった政治体制を選ぶのだ、という演説)がはっきり示していますが、中共専政というこの靴を彼ははっきり履く事に決めたのです。なぜならそれが大変はきごこちがよろしいから。ー民衆こそ足なのに、残念ながら自分達中共が「中国人民であり中国の民族の天賦の代表であると信じている限り、「靴は足に合う」のであって、「足」側が不満でもその理を説くすべもなく、どうしようもない、ということを人々はみなしっているわけです。

習近平が「前半の三十年を持って後半の三十年を否定してはならないし、後半の三十年で前半の三十年を否定してもいかん」という台詞は、毛左派には鄧小平改革を否定してもいいのかと受け取られたので、彼は8.19の薄熙来裁判の直前にこういいました。「指導者幹部、徳に高級幹部はしっかりマルクス主義の基本理論を自家薬籠中の物にして、しっかりとマルクスレーニン主義を学び毛沢東思想、特に鄧小平理論、三つの代表の重要思想、科学的発展観を根底から学ぶべきだ」と。つまりこれは「特に」ということではっきりと鄧小平の改革路線を毛沢東時代より更に重要な位置に置いたということです。(*爺注;この辺は注では説明しきれんので過去の何清漣さんのブログをよんでくだされたく)

今に至ってたとえ「改革」の使者たちが「ゴドーはすぐにやってくる」などというのならば、「ゴドーを待ちながら」の中で何度もでてくる以下の台詞をごらんになるとよいでしょう。

浮浪者A;「もうやめよ。いこうぜおれたち」。
浮浪者B;「ダメだ」。
浮浪者A;「何故ダメなのだ?」。
浮浪者B;「俺たちはゴドーを待っているからだ」。

「中国の改革はもうすぐ始まる」という話に関連したすべてはつまりはこの対話の再現にほかならないのではありませんか?(終)

拙訳御免。
原文;「等待政改:中国版“等待戈多」
www.voachinese.com/content/heqinglian-20131008/1767457.html
何清漣さんの過去ブログ日訳はこちら;heqinglian.net/japanese/

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日文文章 Tags:ちながら, 何清漣, 改革

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