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ギリシャはなぜ「哺乳瓶国家」に成ったか?②

Posted on September 5, 2015 By 何清涟 No Comments on ギリシャはなぜ「哺乳瓶国家」に成ったか?②

何清漣

2015年7月12日

全文日本語概訳/Minya_J Takeuchi Jun

http://twishort.com/s08ic

《共産主義の最終曲;哺乳瓶国家とミルク提供国家の罪のなすりあいゲーム》

ギリシャが「哺乳瓶国家」になったとしても欧州連合にはそれを非難する権利はない…少なくともギリシャの朝野の人々はみなそう思っています。ギリシャの元衛生大臣のAdonis Georgiadisは最近、本音をこう語っています。

「30年来欧州連合は私たちに彼らのお金を使わせてきた。これは間違いだった。彼らはこれによって私たちをまだどう生きるかを学んでいない若者が捻じ曲がってしまったように変えてしまったのだ。これは欧州連合の連中がやった悪い政策だ。良い政策とは能力を育てるべきだった。ギリシャ人は現実に本当の世界で暮らしているわけで、これは大変、苦労に満ちた道である。長年来、大衆はあまりにも楽をしてきた。私たちは働かないでお金を得るということをやめられなかった。私たちは成熟した社会にならなければならない…私たちは自分でお金を稼がなければならない。私たちは大衆に他の国の納税者たちはもう私たちの借金の面倒をみたくない、といっていることを明らかにせねばならない。こうしてこそ私たちは自分たちの国家を復興させ光ある未来をもつことができる。もし私たちが互いにだましあったりしつづけるならば、わたしたちはどんどん落ち目の螺旋を下っていくしかないだろう」と。

この前衛生大臣が「欧州連合の仲間の悪い政策」を批判すると同時に、ギリシャ人が他人に養ってもらってきたということをみとめている話はちぐはぐですが、つまりギリシャ人はいまもってこうは思っていない、ということですね。BBCの複数の記者は国民投票の直前にギリシャ各地で取材して「借金は返せない、というギリシャ人の理屈」というタイトルで記事を書きました。その重要ないくつかを紹介すると。

ジョー・ミレー記者;アテネで、欧州連合の大国に対して恨みでいっぱいの退職老人に取材;「欧州の強大な国が自分たちのギリシャを困らせている」として、失業中のエクトフ氏は「ドイツや金持ちの国家の連中は我々が一日中、日向ぼっこができるのをやっかんでるのだ。ギリシャがこんなになったのは完全にやつらの責任だ」「連中はギリシャのような小さな国がこんなに多額の借金を返せっこないなんてえことはもっとはやくわかっているべきだったのに、連中はずっと我々に連中の銭をよこし続けたのだ」「我々はみな平等でありべきだ。あらゆるああした金持ちの国は経験も豊富だ。ギリシャはこんなに小さい。まさか連中はわれわれがこの究竟から脱出できるように助けようとしない、とかいうつもりなのか?」と。

ランドン記者はイオニア海のCorfu島を訪問。人々はみな怒り「みんなギリシャに問題があって、官僚人事はいい加減だし、ユーロ加盟時にはでたらめな帳簿だったことは知っている。しかし、ベルサイユで会議を開いている連中だって知っていたわけで、なんでそれがギリシャ人民が悪いなんていえるんだ?」

退職者だけでなく失業者も欧州連合の債務提案に反対し、一部の金持ちのギリシャ人も反対しています。ミレー記者は南欧でもっとも豊かな農村のPaphlagonia(?)にいきましたが、ここのギリシャ人は欧州連合の提案には「誤導」があり、もし、債務が帳消しにされなければ「ギリシャは今後2、3代の人々が苦しみ続けることになる」と。話をした人はたぶん、借金返済の責任がすべて自分たちのような仕事のある納税者に降りかかってくると心配しているのでしょう。

まとめていえば、共産主義の「必要に応じて分配する」という理念はさまざまな紆余曲折を経た後、今日のギリシャ人のような正々堂々と「国際的な大鍋料理」をご馳走になって何が悪いという心理状態をうみだしたのです。

哺乳瓶を与える国が、哺乳瓶をもらっている国に責任の一端を追って、我慢すべきだというようなことを望めば、後者はすぐ恨みつらみでいっぱいの「こうなったのはお前のせい」という罪のなすりつけゲームを開始して、「人民投票」を始めます。英語のネットにはこの国民投票をこう描きました。;「うちはおまえのところから長いこと金をかりているが、それを催促するなら、うちは家族投票した結果、金を返すことに反対となったから、これは我が家の『人民』の集団決定だし、『人民』は間違いを犯さない。だからわれわれが借金を返さないというのには正義があるのだ」

《欧州連合はなぜ哺乳瓶を満たしつづけてきたのか?》

欧州連合がずっとミルクを補充してきたのはその思想の源があります。欧州はもともと共産主義思想の発祥の地で、オーウェン、フーリエ、サンシモンの空想的共産主義からマルクスを経て「科学的社会主義」(共産主義)を発展させてきました。それがいま今日の新左派や左翼的な思潮となって欧州大陸では200年余りの歴史がありいまも衰えていません。

昔、第一インターナショナルの時、いわゆる国際共産主義運動は二派にわかれました。一派は暴力革命を主張するマルクス主義であり、もう一派は議会主義の道を経て、平和的に政権奪取をめざすベルンシュタインの路線で、これはマルクスから「修正主義」の痛罵をあびました。マルクス主義社会主義(共産主義)の理想は、ソ連の暴政、ビルマの大虐殺、中国の毛沢東統治、特にその文化大革命でその悪評サクサクたる事実があきらかになりましたが、「修正主義」の継承者は社会民主主義の道をあゆみつづけて、欧州では大成功を獲得しました。

フランスの左派政党は共産主義の「必要に応じて分配」を「社会弱者」を大事にする「社会の公正」という包装紙に包んで、高度の福祉主義を奏でました。フランス国民は生まれてから死ぬまで400以上の項目にわたる福祉の手当てを受けられます。1974年からはじまってフランス政府の公共支出はGDP比率の3分の1前後でしたが、禁煙さらに高くなりGDPの57%になり、北欧の有名な福祉国家のスエーデンににた形です。これによってフランスは「福祉の罠」にはまり二流国家になりさがりました。

ドイツの政界でもっとも影響力を持つのは社会民主党ですが、その前身は1863年にできた全ドイツ労働連合会と1869年にできたドイツ社会民主労働者党です。これは民族国家の範囲内でできた最初のプロレタリアート政党で、第二インターナショナルの時期には各国でできた28の労働者等の中でもっとも政治的影響力を持っていました。

ソ連と違って、このプロレタリアート政党は議会主義の道を歩み、長い時間を経て発展し、次第に革命党から改良主義政党になり、政治の脇役から権力の核心へと近づき、なんでも反対の党から政権政党へと変身を遂げ、1966年にはじめて大連合政府に加入して連合政権に参画しました。

東西ドイツの統一後は、社会民主党は統一後の困難を利用して、「社会の公平」の名と福祉を主要な訴えとして票を集め、次第にキリスト教民主党の握っていた地方の省で追い越し、連邦参議院でキリスト教民主党がにぎっていた連邦政府が決めた政策に異を唱え、最後に総選挙で勝利を獲得しました。

ただし、社会民主党が勝利したやりかたはまさに福祉の向上を約束したもので党首のゲアハルト・シュレーダーが政権に着いたあと、ドイツ経済は苦境におちいっており、失業者は400万を超えていました。シュレイダーはやむをえず議会の圧力に抵抗して、ハルツ第四改革(*フォルクス・ワーゲンの労務担当役員であり、シュレーダー首相の顧問(当時)も務めていたペーター・ハルツが提案した改革。①失業給付期間の短縮化や失業給付基準の厳格化に加え、②解雇保護法の適用されない事業所の範囲を拡大などを含む)で福祉削減にとりくみ、長期失業人口の数を二年以内に70万人にしました。ハルツ改革のおかげで社民党は選挙で労働組合の支持を失い敗れましたが、メルケル政治への基礎となりました。

現在、欧州連合ではドイツだけが繁栄を謳歌しており、失業率は4.7%です。フランスと比べてドイツ人は何が根本的な利益かということをわかっているのです。

2004年(*ハルツ改革の真っ最中の時期)、私もドイツにいったのですがちょうどドイツ労働組合のリーダーが労働者に小幅の減収を受け入れ、企業の海外流出をやめさせるようにと説得していたのでした。このリーダーの演説の大意は「憎むべき資本家どもは利潤の追求のために現在、祖国を捨てようとしており労働コストの安価な国国に去ろうとしている。例えば中国のような。みなの仕事を確保するために労働者の兄弟よわずかな犠牲を払おうではないか。この祖国を大事にしない資本家どもといっしょになってはならない」というものでした。

左翼長期政権が政治を牛耳っていたドイツとフランスを主軸としてできた欧州連合は哺乳瓶方式でギリシャに対応しました。短期的には援助するかのようにみえましたが長期的にはギリシャ人の自立精神に損害を与えました。この角度からみるとギリシャ人の言い分にもあるていどの道理があります。

《社会主義の変奏曲はまだ欧州連合に被害を与える》

欧州連合とギリシャなどの小国のこの種の保護・被保護の関係はただ二つの力に拠っています。一つは強権的な力、二つ目は契約の精神です。欧州連合は強権や圧政ではなく組合であり、欧州国家利益への考慮と、統一の理想に基づいた自主的な連合ですから、それは契約の精神だけにもとづきます。

これまで述べてきたように、ギリシャ人には契約の精神が欠乏し、かつ長期的に社会主義の思想的影響をうけていますので、このような泥沼に陥りました。社会主義(共産主義)の特徴は人民は自由を差し出す代わりに経済的な保障を得ます。ソ連、中国などの社会主義の実践はすでにこの特徴は自由を求める人間の天性と相反するものだということは証明ずみです。中国の毛沢東時代におきた大飢饉はさらに、人民が自由を差し出したからといって必ずしも生存の保障はない、ということも証明しています。

欧州連合の各国の高福利政策というのは実は社会主義の変奏曲であり、人民の自由こそ要求はしませんが、しかし人類が逸楽を好み苦労を嫌がるという特性からは免れることはできませんで、欧州連合の各国は程度の差こそあれ、高い福祉という泥沼に陥っています。

興味深いのは本当に共産主義の災難をこうむってきたチェコやポーランド、リトアニアなどの前社会主義国家はその社会資源の状況というのはギリシャより悪いのに、ギリシャのような国際的な大鍋に依頼して、哺乳瓶国家になっていません。私はこうした国家はおそらく社会主義の痛みを体験して、やっとこの種の甘い糖衣にくるまれた毒薬を知っているから拒否しているのだと思います。

社会主義は確実にギリシャをダメにしましたし、続いて欧州連合をだめにしようとしています。欧州委員会の主席は6月22日に欧州連盟の財政計画一体化の促進レポートを公布しましたが、この指導者達は「財政の一体化の結果は必然的に福祉の一体化になる」ということを理解しているのでしょうか?

もし欧州連合が税収の一体化を実現できなければ、福祉の一体化は欧州連合各国の納税者たちにとっては公平ではありませんし、さらなる怠心を刺激し、勤勉を罰する、ということになって各国人民の間の矛盾を生じます。しかし、税収一体化を実現するならばまず経済の同質化を実現しなければなりませんが、目下、欧州連合の各国経済の発展レベルは大きな差がありますし、経済同質化ははるかに遠いものです。

人類の歴史はすでに社会主義の大きな夢を社会成員の自由と交換して強力に推進するならば最後には社会構成員全員が貧しくなってしまうことを証明しています。いま、欧州連合は自らの現状によって、福利をエサにして社会民主主義の大同団結の夢を実現しようとするならば、たとえ自国企業は競争力を失い、高福祉の陥穽に陥りながら、なお依然として国際的な大鍋で食っていこうとするギリシャのような哺乳瓶国家を必要とするということを証明しています。(終)

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日文文章 Tags:ギリシャが, 何清漣, 哺乳瓶国, 欧州連合

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