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渡す相手を完全に間違えた西側ビジネス界の”連判状”

Posted on September 5, 2016 By 何清涟 No Comments on 渡す相手を完全に間違えた西側ビジネス界の”連判状”

何清漣

2016年8月14日

全文日本語概訳/Minya_J., Takeuchi Jun

https://twishort.com/nIRkc

8月10日、在中国米国商議所など46のビジネス団体が連名で中国国務院総理の李克强に中国の「ネット安全法(草案)」などの法律が正常なビジネス活動に悪影響を及ぼしかねないとの懸念と「これらの法律が中国をデジタル化が進む世界経済から孤立させる」から中国側が関連法規を改正すること希望するという手紙を出しました。

この手紙はグローバル企業協会がロビー活動をしようにもできない中国にあっては最後のあがきのようなものですが、宛先を間違えていることが第一にダメ。第二のダメは中国の支配者たる習近平の国家安全観を全然わかっていないことです。

★宛名はなぜ習近平でなければならなかったか?

中共は「政治の掟第一」の組織であります。中共第18回大会の権力移譲時期前後にはこの「掟」は破られ、のちにまた総書記・習近平によって再度うち立てられました。習近平は「小組」のリーダーを兼任することなんと13組にもなりますので、多くの人々はどんな「小組」だったかも覚えていませんし、私だって全部記憶してはいません。しかし、今年4月19日に開かれた中国電子ネット安全工作会議は「中共中央総書記、国家主席、中央軍事委員回主席、中国ネット安全と情報化指導小組組長・習近平」が自ら主催したので、このニュースを聞いてから私はしっかりと今上皇帝たる習近平は「ネットの安全」という重要任務のリーダーなのだと記憶してきました。

習近平親分がそれぞれの小組についてどのぐらい職責を果たしているかは知りませんが、しかしこの「中央ネット安全小組」に関しては確かにしっかりと自ら手抜きせずにやっています。「ネットの安全がなければ、国家の安全も無い」ということを深く理解している習皇帝は常にこの問題を強調することを忘れていません。2014年7月のブラジル訪問時には多忙な時間をわざわざ割いて、ブラジルの国会で演説したときにも「国際社会は共同してインターネットを管理する体制をつくるべきだ」と述べました。

また2015年9月23日にシアトルのマイクロソフト本社で中米インターネットフォーラムが開かれたときにも主な出席者たちに「現代という時代は社会情報が急速に発展した時代であり、庶民の衣食住から国家の重要なインフラの安全にいたるまで、インターネットに関わらないところはない。安全、安定、繁栄するネット空間は一国から世界の平和の発展にますます重要な意義をもっている」と述べました。国際教育情報化大会や第一回世界インターネット大会の開幕には本人が参加できなかったのですが、それでもしっかり祝辞を述べ睨みを効かせることを忘れませんでした。

戦略的な目という意味では、習近平は確かに米国の数代の大統領より幾分優れているといえるでしょう。米国は電子計算機の発展の先駆者なのですが、ハイテク企業が中国に進出して以後、その技術がコピーされようが、企業側が中国に献上しようが別に大したことは無い、と大統領も議会も考えてきました。しかし、習近平は違います。「情報化時代の潮流ではただ積極的に有利な地位を占めることによってのみ機先を制することができる」と深く理解しており、中国科学院と工程院のメンバーたちには「キーとなるテクノロジーはしっかり自分たちのものにしておかねばならない」と注意を喚起しています。

こうしたニュースは完全に中共総書記たる習近平のネットの安全に対する高い意識を表しています。多分、今回のこの中国米国商議所などのビジネス団体の会長や理事長は中国語を読めないし、中国政府側メディアなどまず読んでいないとおもいますから、習近平があえて「中国ネット安全小組」の組長などというものをやっている真意が如何なるものかわかっていないでしょう。

ですから、なんとも大胆にこのような重要な手紙を出す相手を間違えてしまったのです。中国の総理である李克强はネットの安全や、ネットの安全に関わる法律の制定に責任など負っていません。ですから李克强がこの手紙を読んだとしても、あえて習近平に言挙げしたりはしませんでしょう。ましてや現在、中共19回大会で自分が地位に留まれるかどうかすらはっきりしない噂が山ほど流れているうえ、李克强もその一人である共青団中央出身の官僚たちがこれから自分たちがどうなるかわからない面倒を(*何清漣;★共産党青年団「改革」とは何か?⑴ ★「共青団」⑵ー出身幹部は多いが「派」ではない★参照)抱え込んでいるときに、誰が自分から進んで厄介な事柄にまきこまれたがるでしょうか?

宛先を間違えているというのはまだ許せます。こうしたガイジンたちは中国伝統のルールをわかってないんだということですから。しかし連盟で書いた手紙が要求する内容が中国皇帝の聖旨に反するものではないかどうか、はこの手紙が役に立つかどうかという一番肝心な点です。

この手紙の全文はまだネットには流れていませんが、関連報道ではただ「中国のネット安全法案は外国の在中国企業は必ず中国国内での商品のデータを中国国内のサーバーに保存せねばならず、かつ中国の法律執行部門の調査に必ず協力しなければならない。そして情報技術産品はかならず中国側の審査を受けねばならない」と書かれています。手紙によると、もしこの法案が法律化されたなら、安全はそこなわれ、中国とグローバルデジタル経済の間にはヒビが入るだろうとしています。のみならず、「世界経済の発展がこれによってさまたげられ、中国内外の企業交流にとって障害となり、それはWTOが認める貿易障壁となり、中国は関連法規を改正すべきである」としています。

報道の内容から見て、これは「草案」の第25条の「需要情報基盤の設備」の対象範囲と、安全審査部分の第28条、30条、31条についてですね。特に指摘すべきは第31条の「キー情報となる情報設備の運営者は、かならず中華人民共和国内(実際には通常、中国大陸)の運営活動の中で得て、集積された、あるいは生産された市民の個人情報を含む重要なデータを中国国内に保存しておかねばならない。もし正当な業務上の要求があり、そうしたデータを国外のサーバー、または国外の組織や個人に提供するにあたっては、運営者は国家ネット部門会と国務院の関連部門の制定した方法に基づいて事前に安全評価を受けなければならない。ーーこの種の安全評価は中国側からみれば確かに安全の強化ではありますが、外国企業からいえばまったく情報の安全どころではなくなるということです。

草案第40条、四十一条の第二項は電子メール情報発送業務提供者とソフトウェアダウンロードサービス提供者を含む)ネット運営者は審査の義務を負うこととする。「運営者は発表を禁止されている情報や違法の情報が伝えられているのを発見したときはかならず直ちに関連の情報を停止し、情報が拡散しないように必要な措置をとらねばならない。運営者はこれらの事件の起きた記録を必ず保存し、かつ関係主管部門に報告せねばならない」-この規定は特に米国のハイテク企業が削除することを望んでいるものです。というのはかつてヤフーが中国政府の要求通り、师涛らのメール情報を提供したために米国で議会に召喚されて世論に「悪魔と取引した」と指弾され名声が一挙に地に落ちたうえ、巨額の賠償金を支払わされたからです。

★中国はもともと「世界の孤児」になることなど平気

以上分析したように、このグローバル企業協会の連盟の手紙は結局はなんの効果もないまま大海に石ころのように沈んで何の反響もないままにおしまいになってしまうでしょう。この数年、中国では治安維持と社会の安定確保がますます巨大な任務になってきており、国外機構が中国内にもつ政治とは無縁のNGOですら「国外勢力が中国政府を転覆させる意図だ」とされています。同時にインターネットに対する監視・管制もますます強化され、「インターネット管理体制を完璧にすることを加速し、技術から内容まで日常の安全から犯罪撲滅まで力をあわせネットの正しい運用と安全を確保する」ことが不断に強調されています。習近平親分が4月19日に安全とコントロールの強化を語った講話はいまでは中国ネット安全産業連盟が業界に従事者にしっかりと暗記するように真剣に学習させています。ネットの安全は中国国家の安全、軍事の安全、さらに情報の安全にかかわることで、国家の根本的な利益が存在するところなのです。その背後の意思は、この点を理解しない企業や従事者は中国インターネット業界に居場所はない、ということなのです。

今回の連名の手紙ではさらに、「こうした法律が中国を世界のグローバルデジタル経済から孤立化させるだろう」と警告しているのですが、こんな警告は中国共産党にとってはまったく蛙の面にションベンで効果なしです。中国政府は巨大な資金を惜しまずつぎ込んでインターネット遮断壁をつくって、あますところなくメディアをコントロールして、もっぱら中国地域だけのネット網を作り上げてきたのです。そしてその唯一の目的たるや、全世界のグローバルな経済の外側に孤立したいからだったのです。であるからには中国の指導者が「孤立」を恐れたりするでしょうか?ましてや中国はインターネット時代になってから中国の技術発展は世界と歩みを一つにし、さらには中国のコンピューター・クラッカーたちは自由自在に米国政府や企業のネット、さらに英国やドイツなどのネットにも侵入することができるのです。こうした技術的優位のもとで、グローバル企業協会が中国の国家指導者にネットの安全管制を緩めてくれ、などというのは虎にその皮の値段を交渉しようとするようなものです。

最後に外国ビジネスマンたちが中国と交渉するにあたって、中国政府が気にするのはビジネス集団ではなく、彼らの背後にある政府であることを指摘しておきたいとおもいます。過去に北京政府がこうした政府を気にする理由は、中国はこうした政府と良い関係を維持していかねばならないとおもっていたからです。しかし、現段階では北京と各国政府の関係はよくありませんし、中国の海外投資はトラブルに見舞われています。英国はヒンクリー原発計画への署名を延期し、オーストラリアは中国企業が自国電力産業に参入するのを阻止し、米国司法部はヒンクリー原発計画に参加した中国系人を米国の核発電技術を盗んだスパイ容疑で起訴しました。こうしたさまざまのことがすべて中国にとっては難癖をつけられているようにみえるわけで、「お前らがそこまでやるというのなら、俺たちが仕返ししたって文句を言うな」というわけです。

みなさんはこうした状況下で、中国当局がネット安全法案を改正してくれるようにと求める今回のお手紙の反響がなしの礫になる以外の結末が考えられるでしょうか?
(終)

拙訳御免。

原文は;一封写错收信人的联名信 voachinese.com/..13/3463232.html

何清漣氏のこれまでの論考の日本語訳は;heqinglian.net/japanese

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日文文章 Tags:ネット安全法, 何清漣, 在中国米国商議所, 李克强, 習近平

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