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★転換に苦難のメディア、中国では一層厳しく★2017年01月03日

Posted on January 5, 2017March 2, 2017 By minya-takeuchi No Comments on ★転換に苦難のメディア、中国では一層厳しく★2017年01月03日

 2016年、中国のメディア界の生存環境は弱り目にたたり目.傷口に塩といった具合で、全世界のメディア界同様、市場の急速な縮小、広告収入の減少、人員削減の嵐の上に、さらに政治的な圧力が加わっています。中国のメディアの生死を決定するのはインターネット時代に必然的なペーパーメディア市場の縮小より、政治的な要素の方がもっと大きいのです。

 

中国メディアの命運と国際的な背景

 中国メディアの命運は、世界的な背景の中に置いてみる必要があります。でないと、その生存の困難さの背後にある複雑な要素がうまく伝わらないでしょう。

 米国の映画界は伝統的メディアがもう「斜陽産業」だということを予感していたようで、2016年始めに、映画界の最高賞であるオスカー賞は、制作者も俳優たちも有名ではない「スポットライト 世紀のスクープ」に作品賞と脚本賞が与えられました。下馬評で評判の高かった「蘇えりし者(The Revenant)」や「マネー・ショート 華麗なる大逆転(The Big Short)」を退けての受賞でした。その理由はこの映画があまりにも感動的だったからです。評論家は皆、「スポットライト」は綿々とペーパーメディアの過ぎ去った栄光、調査報道の伝統、正義のために不屈の精神で立ち向かう記者魂を懐かしむ、過去からのラブレターのようだと認めました。私もこの映画を見て、この元になった事件がわずか14年前の話だと知っていても、もうとても大昔のことのように思えてなりませんでした。

 ロイター・ニュース研究所(Reuters Institute for the Study of Journalism)や、ピュー・リサーチセンター(Pew Research Center)は一年かけて欧米の数十社の報道のホットスポットや、業界の実情を調査し年末に、グローバルなメディア業界の現状と未来を描き出しました。

全世界のメディアは苦境にあえいでいます。財政経済の権威である「ウォールストリート・ジャーナル」を例にとると、過去2年間の広告収入減少によって、従業員削減を迫られています。2016年10月21日付の同紙によると、「大量の従業員に離職希望を募っており、人員削減計画も立案中」ということです。その他の「ニューヨーク・タイムズ」とか「ワシントン・ポスト」、CNNなどもそれぞれ、モデルチェンジの道を模索しています。ソーシャルメディアに力を入れる他に、それぞれがあの手この手で、CNNは社内を三分割して、デジタルニュース取材プログラム部、デジタルニュース編集部、デジタルプロデユース部などで、全力でテレビ記者をビデオ・オーディオ型の全メディア型記者に、テレビニュースを全メディア型ニュースに変えようとしています。「ニューヨーク・タイムズ」は伝統的なカメラによる直接放送、無人カメラの直接放送、現場取材の直接放送、音楽関係の直接放送などを試みています。無人カメラによる中国・桂林の国立公園の自然風景を放映したときは22万の閲覧者がいました。この他にグルメ番組も作っています。

 しかし、いかに努力してもロイターのフィンランド、フランス、ドイツ、イタリア、ポーランド、英国の6か国25のメディア企業を研究対象にしたレポートによれば、依然として憂うつな結果しか得られませんでした。新聞購読者は下落の一途で、テレビ視聴者も同様に減少しています。メディアの使用度の変化は直接、メディアの広告マーケットの構造再編と変革につながります。

 

デジタル時代の挑戦;中国も欧米も同じ

 欧米諸国などのメデイァがインターネットによる挑戦にさらされているのは中国のメディアも同じです。しかし、「人民日報」や各省の共産党のメディア、政府機関のメディアは自分自身の特別な権力をもって購読料を維持し、ニュースを利用した利益獲得(よいしょニュースでほめあげて賛助金を得るとか、組織や個人の後ろ暗いことをネタに恐喝めいたやり方で利益を得る)といったことで、これは以前に「ニュース業界の不正利得を憂う」2014年9月18日 や「メディアの地方記者支局を撤廃;遅まきながらの報道腐敗掃除」2015年5月28日 で詳細な分析を書きました。

 しかし、二十世紀90年代から次々と中国に登場した「市場化メディア」はほとんど全てが、デジタル時代の巨大な挑戦を受けています。2017年1月1日には「京華時報」が休刊になりましたが、これは政治的圧力というよりは、市場競争力が無かったからだと言えるでしょう。この点は同紙の休刊を惜しむ「京華が消滅〜紙メディアの未来は死か再生か?」という一文にはっきりこう書かれていました。

 「京華時報は苦境に陥り、赤字は深刻で、改善は成果なし」「上級主管部門は京華時報社の主管を北京日報グループに変更し、2017年1月1日をもって休刊することを決定」とあります。数百人の取材・編集人員は、半官半民のメディアで「層別に分ける」原則で、200人以上が北京日報グループ、北京放送、北京テレビなどへ。100余名が市の国有文化企業へ、どちらにも行かない人には相応の保障が支給される」。

 外国のある有名なニュース系のNGOは中国メディアが苦境にあるとき、市場圧力によって休刊に追い込まれた京華時報が、他の政治的圧力によって停刊させられたメディアと一緒にするのは政治的な意図があるのではないかと論評していましたが、これはちょっとうがち過ぎた見方でしょう。政治要素で停刊させられたメディアとウェブサイトはたくさんありますが、「京華時報」はその中には全く入りません。

 

政治圧力で次々に消えゆく中国メディアとは

 米のNGO フリーダム・ハウス(Freedom House)は2016年の中国宣伝主管部門が下部に命じた文書を分析し、政府がコントロールを重視する順位を 中共と官僚の名声、健康と安全、外交、官僚の誤った行為、メディアと審査、公民社会、経済、の順番だとしました。なぜ、目下、重要なはずの経済問題が最後なのか? これは経済関係の文章というのは専門的で、普通の読者には専門性が強すぎて理解できないから、他の6項目ほど「敏感」ではないのだと思われます。

 他国のメディアと違って、中国では思想や内容が比較的優秀なメディアほど、往々にして寿命は短命に終わります。その生死はしばしば政治的な要素で決まるのですが、当局は決して政治的な理由で閉鎖させたなどとは言いません。西側のメデイァが市場の拡大ができなくて困っていても、中国では市場も資金にも困らない刊行物やウェブサイトも、政治的な理由で閉鎖させられます。

 この例は「炎黄春秋」です。「炎黄春秋」雑誌は1991年に創刊され、退職した中共幹部によって運営されました。その一番重要な分野は党内の役人の各種の回想記でした。こうした回想文は往々にして、官吏たちがかかわった公式の歴史にはない細かい部分や内幕が描かれ、読者に豊富な見聞を与え、とりわけ研究者にそこからある種の歴史的事件のデータを得られたものです。こうした資料の中には一部のハイレベルの中共党員に対する評価を覆しかねない要素があります。この雑誌の安定した購読者は現在、十数万人もいたので、経済的な観点からみればこの21年間、政府からは一銭も補助金をもらわず完全に購読費で生存してきました。この雑誌が強制的に「接収」されたのは、ただ当局が許さなかったからです。

 もうひとつはウェブサイトの「共識網」の閉鎖ですがこれは複雑な事情が絡んでおり、その意味するところは「曽慶紅路線」の終了です。この路線が確かに存在していたことは中国人には分からなかったのですが、米国のジョージ・ワシントン大学のディビッド・ジャンボー(中国名;沈大偉)がこのテーマに敏感なのかどうか、2015年3月6日の「ウォールストリート・ジャーナル」に長編の文章を寄せ、共産党は中国統治の「大詰め」が始まっており、その原因は習近平が曽慶紅の開放的で寛容な路線を放棄したからだ、と言いました。
 彼はこう言います。

 「2000年から2008年にかけて曽慶紅の主催下で、中共は衰亡の運命から免れようと、いわゆる『動態的方式』、つまり表向き開放的な姿勢を見せながら変革を中共が指導管理していくやり方を取っていた」と言います。注目すべきは沈大偉は、このある程度共産党を延命させようとする路線を代表したのが曽慶紅であって総書記の江沢民ではないと見ていることです。しかし、2009年中期に曽慶紅が退職してから、中共の方向は突然、変化した」。

 沈氏のこうした判断はご自分のものか、それとも中共政界のハイレベル層から耳打ちされたのか、外からはわかりません。しかし、彼の発言は事実だとうなずけます。というのは「共識網」が登場したのは、米国をベースにしていた「当代中国研究」雑誌に取って代わるためでした。この雑誌はかつて、現代中国の実態解明を学術研究として行うことを主旨として、問題意識をもって、中国の国内の自由知識人たちの間で支持されていましたが、北京の策謀で「当代中国研究」が2009年に壊滅させられました。それからは、この「共識網」がその役目を引き継いだのでした。(全てではありません)。中国内外で中共のコントロールを受けない学術性の刊行物や、ネットのサイトがほぼ中共によって全滅させられていたので、この「共識網」は大いに歓迎されたのです。この中共の内部資金によって運営されていながらも、一定程度の自由が許容されていたこのサイトが閉鎖されたことは、内外で惜しむ声が多方面から上がりました。同時に中共自らによる改革に、なおわずかな望みを託していた人々も、当分、その望みを諦めざるをえなくなりました。

 2016年の状況を総括すると、「デジタル化時代における各国のメディアへの挑戦は似ているのですが、異なる政治制度下におけるメディアにはそれぞれ違った困難があります。中国政府のメディアコントロールのやり方から見ると、もし中国の最高指導者の願望が実現するのなら、中国が「人民日報」と「新華社」が世論を独占していた時代に戻る、ということでしょう。しかし、時代は人間より強力です。中国がネット技術時代の分け前を望むのであれば、その願望は永遠に達成されることはありますまい。(終わり)

 《中国人权双周刊》
(第199期 2016年12月22日—2017年1月5日)

 拙訳御免。原文は;世界媒体艰难转型,中国更显雨狂风骤 

 「中国2015 何清漣」 電子ブック発売中。何清漣さんの「中国2015」表紙

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