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★ウクライナのTVドラマの滑稽な腐敗⑴ ★2017年9月26日

Posted on September 26, 2017November 9, 2017 By minya-takeuchi No Comments on ★ウクライナのTVドラマの滑稽な腐敗⑴ ★2017年9月26日

 ソ連邦解体後、連邦に加盟していた諸共和国は、あたふた、おたおたと従来の政治路線変更を行いました。その様子はロシア以外は、中国ではこれまで、ほとんど紹介されることはありませんでした。ウクライナについても、ロシアとの間に300年にわたる愛憎の歴史があるぐらいにしか知られていませんでした。このほど中国に紹介されたAleksey Kiryushchenko監督によるウクライナのテレビドラマ「人民の公僕」は、喜劇の形で、ウクライナの現状を紹介したものです。私はその登場人物、劇中対話や、大真面目でしかも滑稽な話の展開に、社会主義制度を体験した人生の、灰色のユーモアが溢れており、ウクライナの人々の喜怒哀楽は、こんなに中国人と相通じるものがあったのか、と大笑いさせられました。

 ★中国同様、「一人が出世すると犬猫まで天に昇る」文化

あらすじ : 主人公のワーシリー・ペドロビッチはウクライナの平凡な高校の歴史の先生。しかし、同僚と論争中に時勢を辛辣に批判した姿を、ネット動画で投稿されたために、一夜のうちに人気者になってしまい、学生たちが彼を大統領にしようと、ネットで選挙資金集めを開始する騒ぎに発展。国民は政官界の腐敗にうんざりしており、ワーシリーの率直な勇気を喜んで、なんとワーシリーは心ならずも瓢箪から駒で当選して、大統領になってしまった。

 大統領になって、家族の彼に対する態度は一変したが、家族中の物欲も大噴出。ワーシリーの父親は労働者で、退職後はタクシー運転手をして家計の足しにしていたが、日頃から息子が歴史学博士の学位まで取らせたのに、ただの高校教師になったのが大変気に入りませんでした。「大学にまで金を払ってやって、ただの高校教師か。学問なんて役に立たない」が口癖。ワーシリーが勤めに行く時も誰も、母親や姪に頼んでも、誰もシャツにアイロンをかけてくれない、という冷遇ぶりだったことが第一回目に紹介されます。

 ところが、ワーシリーの大統領当選が決まると、家族の彼に対する態度は180度の大転換。いろんな連中が突然どっとやってきて、お世辞タラタラ、ホイホイ持ち上げるものだから、家族は大喜び、どっと届いた数々の贈り物、商店主からの”大幅割引”から、「事実上無料で結構」な洋服からボートまで贈られてきた。父親はすっかり図に乗って、自分の方から各種の家具や絵画、装飾品をせびり出したり、家の内装やりかえも無料でやらせようと計画。小利口で口達者の姉は、あちこちで、ワーシリーの大臣にしてやるとかリップサービス、最後に国家財政サービス局長を説得して、自分を副局長に任命させ、その職に就くや、真っ先に、以前、自分を解雇した鉄道局長を解雇して報復を果たし、賄賂を受け取る。ワーシリーは堪りかねて、彼女をクビにさせ、父親と姉が受け取った家中の”贈り物”を返還させ、家の模様替えも中止させる。その理由は、「外で自分は反腐敗に力を尽くしているのに、家の中で腐敗だらけじゃ、土台から崩されてるようなもんだ」といいます。家庭争議の結果は、父も姉も賄賂物資は返却したが、その代わり、ワーシリーは家を追い出されてしまう。というのは、賄賂がもらえないなら、彼の部屋を貸し間にして、その家賃が家計の足しに必要だから、というわけだった。こうしたプロットは当然、喜劇的に誇張されてはいますが、中国人ならこの種の現象に驚いたりはしないでしょう。

 ★腐敗の美味しい味わいに

 劇中、ワーシリーは、清貧に甘んじ、権謀術数を使わない大統領です。当選後、率先垂範して、清貧のまま、平民的暮らしをつづけ自転車で通勤しますが、これが腐敗にどっぷりつかった政府のエリートたちを大いに不安にさせます。ウクライナ民主化のあと、その政治は「三頭のクジラ」とよばれる三大権力貴族資本集団にコントロールされており、彼らは迅速に対応策を講じます。まず、自分たちの言いなりになる内閣総理大臣のユーリ・イワノビッチに、大統領をお飾りの存在に棚上げさせます。ワーシリーは、政府の大臣たちが、邪魔ばかりするので、広く社会から人材を公募しようと思い立ちますが、その結果は皆、総理大臣の息のかかった連中になってしまいます。ワーシリーは仕方なく、自分の別れた妻を中央銀行総裁にするなど、高校教師時代の同僚たちを何人か内閣の大臣に任命します。

 この不慣れな田舎者一行でつくられた内閣チームは、任に就くや、政府の仕事がよく分からないばかりか、金銭と色仕掛けの罠に直面し、数千万ドルの巨額の賄賂に誘惑されます。国家安全大臣になった元同僚の教師は、就任したとたんに、腐敗した部下の幻覚剤によって、役立たずになります。妻や子供からの”圧力”にも耐え抜いて、誘惑を退け、反腐敗に力をいれるのは、下士官から国防大臣になった一人だけで、あとは皆、天からぼた餅のような利益の誘惑にグラグラ。この時、ワーシリーは、これは腐敗グループに誘い込もうと言うワナなんだと、彼らを説得して、賄賂を公務員の未払い給与に充当させて、なんとか最初の内閣崩壊の危機を逃れます。

 ★腐敗のない場所は無いほどの腐敗ぶり

 ドラマの中で、腐敗のない場所がないほどの腐敗ぶりは、中国を思わせます。ほとんど全ての政府の役所は皆、官僚の私利私欲を満足させる道具になっています。何回かは、道路建設編にあてられていますが、その描写は劇的です。でも、中国人なら、その真実性は疑わないでしょうね。

 大統領は、公務で出かけた先で、道路がボコボコのめちゃめちゃなことを発見します。工事中の標識が出ているところに10数人の労働者がブラブラしていたので、「仕事の時間なのになぜ働かない?」と聞きました。リーダーのカジャおばさんは、大統領だと分かっても、めんどくさそうに、「10杯ばかりの砂利で何をしろと言うんだい?」と答えます。大統領が、「他の材料はどうした?」と聞くと、おばさんは「売ったよ。賃金何ヶ月も払ってもらってないからね。どうやって皆んな、生きて行けっていうんだい?」と答えます。ワーシリーは初心を忘れていない大統領でしたし、道路は誰もが必要とする公共施設ですから、人々のために良いことをしようと決めます。

 悪辣で狡猾なユーリ・イワノビッチ総理は、道路の「完成促進」を喜びますが、それは道路完成のためではなく、大統領が自分がやってることの滑稽さに気がつくのを見て、笑いものにするためです。果たして、道路修復のための10億ウクライナ・フリヴニャ(UAH/1フリヴニャ=約4円)の予算が国会を通過し、国家インフラ建設省に送られます。同省は自分たちの分け前を齧ってから、次々に下の部署にその予算をおろします。1レベル下がるごとに予算はすり減って、最後に現場の作業隊に届いた時には、1000万フリヴニャしか残っていませんで、道路はちゃんとは修理されませんでした。

 驚くやらガックリするやらの大統領は、調査に乗り出しインフラ施設省の役人たちが、がっぽり途中で抜き取っていたことを発見します。とりわけ大臣が大儲けしており、外国でヨットや別荘を購入していたのです。交代させるしかありませんが、次の大臣も同じことでした。これほど役人が腐敗しているなら、いっそ労働者を起用したらどうだろう、と大統領は、現場のカジャおばさんを大臣に抜擢します。彼女なら、皆のことを思いやって汚職などしないだろう、と期待したのです。ところが一生を通じて、贅沢などしたことのないカジャおばさんも、やはりこれまでの大臣と同様に道路修理費をくすねて、ハワイに別荘を買い、ロンドンでマンションを購入し、何十着ものエルメスの洋装、装飾品を自分のために購入したのでした。

 大統領は、ウクライナは民主化したとはいえ、何十年もの社会主義時代に形成されてきた文化の遺伝は、もはや人民の特性になっていることを痛感させられました。道路建設腐敗事件の記者会見で、記者たちの質問に答えるうちに、最後には、大演説をぶちます。この演説は大変、リアルな内容で、もしウクライナの部分を中国に代えても、立派に通用するものです。この全文を抄録して、同じように腐敗に痛めつけられている中国の読者に供したいと思います。(続く)

 拙訳御免。続きは→ ★ウクライナのTVドラマの滑稽な腐敗⑵★ 2017年9月30日

 原文は;腐败:社会主义之病与民主之痛—观乌克兰电视剧《人民公仆》有感

当Webサイト連載のブログ集改訳;日中両文収録 
「中国2016 何清漣」Amazon電子ブック発売中。
 何清漣さんの「中国2016」表紙

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