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★米中貿易戦争 — 米国は、なぜ高値をふっかけて安値で取引?★ 2018年5月27日

Posted on May 28, 2018October 20, 2019 By minya-takeuchi No Comments on ★米中貿易戦争 — 米国は、なぜ高値をふっかけて安値で取引?★ 2018年5月27日

 2018米・中貿易戦争の結果は、きっと中国側の必敗だと予想していた人々は、米国がせっかく強い切り札(訳注;中興通訊公司・ZTEとの取引禁止)を出しながら、なぜ大勝利に終わらなかったのか?と意外に思っています。これは所詮、「羊の毛を刈り取る戦い(利益損得の争い)」だと見ていた私も、「刈り取れた羊の毛」が少な過ぎると感じております。

 ★細部不明の共同声明

5月19日に発表された共同声明はこうでした。

 ;米中双方は、製造業とサービス業の領域で有利な条件を生み出すために貿易においての認識が一致し、米国の対中貿易における赤字を削減する措置に同意した。中国側は、今後、米国からの商品とサービスの購買量を大量に増やす。米国側は、農産物とエネルギーの輸出を増やす。

 しかし、この声明には具体的な数字も、実施時期も書かれておらず、中国側の一番懸念しているZTEに対する電子部品禁輸措置についても触れていなかったため、様々な憶測を生みました。

 米中双方の、交渉結果に対する発表も異なっています。中国側は、ウィンウィンであるとして、「貿易戦争をせず、お互いに関税を掛け合うのを停止させた」と言います。しかし、米国メディアは、米国側の用語は中国側とは違っており、米中双方が中国における貿易赤字を減らすことで共通認識には達したが、しかし、「貿易戦争をしない」とは言ってないし、「相互に関税をあげるのをやめた」とも言っておらず、ただ、「暫時、関税を上げず、貿易戦争をしない」としか言っていないと報道しているのです。

 関連する数々の情報を分析すると、共同声明に細部が書かれていないのは、主に、細部における折衝がまだ厳しい談判を経ねばならないからだと思います。細部の談判が厳しい理由には、主に二つの要素があります。

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 ★「2000億ドルの赤字を埋める」目標は非現実的
 米国のハイレベル貿易代表団が5月初めの訪中時には、はっきりと北京に対して、2000億米ドルの貿易赤字を減らせと要求しました。というのは、去年の貿易赤字が3752億ドルだったからです。

 ワシントンで開かれた第2回協議で、中国側は回答として、2000億ドルの大量購入という案を持参しました。しかし、巨額の貿易赤字は、米国の対中国ハイテク産品輸出制限、とりわけ軍事技術ががらみの禁輸措置を含む経済構造から生まれたものです。たかだか大豆などの農産物や半導体、天然ガスを購入したぐらいで差額を縮小出来るはずもないことは、専門家の間では分かっていました。

 ピーターセン国際経済研究所の上席研究員のチャッド・ブラウンは、取材に対して大変率直に、中国に毎年、これまでより2000億ドル、つまり米国の対中貿易赤地の半分以上余計に米国製品を買わせる — のは、「言わば非現実的な数字」と答えています。

 中国国内で流布する話は、今回の中国貿易代表団が、米国に示したハイテク産品リストには、欧州は中国に販売しているけれども、米国は販売禁止している制限品を緩和してほしいという意味で、実質的には、米国からのエネルギー、とりわけLNGを輸入するということだと伝えられています。しかし、この輸入先転換作戦は、中米両国と欧州連合(EU)や、ラテンアメリカとの関係を悪化させます。

 例えば、米国がエネルギー輸出を拡大すれば、ロシアや中東の対中輸出に影響を与えます。中国の税関総局の2017年末の発表資料では、ロシアは連続9ヵ月、対中石油輸出では首位を占めており、サウジアラビアが第2位です。中国がもし、ロシアに恨まれるのを覚悟の上で、輸入先の一部をアメリカに振り替えたとしても、米国が得られる金額には限りがあります。2013年の中国・ロシア間の長期原油提供協定によれば、25年間、ロシアは毎年中国に対して4600万トンの石油を提供し、総価値は2700億ドルです。天然ガスは30年で、毎年380億立法メートルで、総額は4千億ドルです。計算すると、ロシアが中国に輸出している石油や天然ガスは、せいぜい年間約230億ドル余りです。

 また、中国の輸入のトップを占めるICメモリチップについて見てみましょう。全世界の半導体マーケットの規模は3200億ドルで、世界の54%が中国向けです。中国が輸入する電子チップは2千億ドル以上で、石油などの大型商品を上回って、トップの輸入品なのです。初めの頃に言われていたような、中国側が、日韓台湾からのICメモリチップ輸入を、米国だけに切り替えて、赤字を減らそうとすると言う話ですと、たとえ大半を米国に切り替えたところで、おそらく400億〜500億ドル程度にしかなりません。

 中国はまた、欧州のエアバスの発注先を、米国に振り代えることができますが、しかしこれも全部合わせて200〜300億ドル程度です。

 たとえ、中国がブラジルやアルゼンチンの大豆を、米国からだけ輸入することにしたって、大したことにはなりません。2017年、中国の大豆輸入総額は397億ドルで、ブラジルからは209億ドル、アメリカからは139億ドルで、総輸入額の53%です。米国の農民が大豆植え付け面積を拡大して、対中輸出を独占したところで、200億ドルしか増えません。

 以上の全部を足しても、2千億ドルの半分程度にしかならないのです。そして、さらに実現するのは現実的とは思えない前提があるのです。「米国が急速に生産を拡大し、中国が必要とする全ての商品を作り出せるとしても、その結果は、中米両国は、それによって自分たちとEU、ロシア、その他の国々との関係を一体どうするのか?という問題です。

 上述の国々は対中貿易戦争にピリピリしています。5月20日、フランス財務省のルメール大臣は、欧州のマスコミの取材に応じ、「中国に大幅に米国からの購入を増やし、対中赤字を削減せよと迫るやり方は、EUとその加盟国に、中国の不良行為の代償を押し付けるものだ。こうしたやり方は、EUから見れば、完全におかしい、不可思議な方法だ。こうした懸念は、わがフランスだけではなく、他の国々も注目しており、対策を考えている」と述べました。

 
 ★ZTEへの制裁が米国議会の矛盾になってしまう

 共同声明は、一言もZTEの命運という焦点に触れませんでした。しかし、誰だってこれが米中貿易戦争の焦点だと分かっています。メディアも各種のやり方で、非公開の事実を報道しようとしています。

 まず、米国の役人が、ZTEに関して発言しています。5月20日、米国のスティーブン・マヌーチン財務長官とホワイトハウス主席経済顧問ラリー・クドローは、取材に答えて率直に、中国の習近平国家主席がトランプ大統領に対してこの問題を聞いて来たと言いました。

 しかし、トランプが5月13日に、ツイッター上で、ZTEの従業員が失業することに対して同情を表し、なるべく業務を回復できるようにと思っていると書き込んだ後、米国政界とメデイアは、トランプ大統領が、制裁を緩和するつもりだと見て、批判の論評が相次ぎました。米国議会下院の歳入委員会は、緊急修正案を通過させ、米国商務省がZTE問題で中国と再交渉することを阻止しようとしています。

 ウォールストリート・ジャーナル誌5月22日の報道では、「消息筋」の話として、米中双方がZTE問題解決への大枠で同意に達し、米国のZTEへの部品・ソフトウェア販売禁止令を解除しようとしていると報じました。同時に、ZTEは経営陣と理事会で、一定額の罰金を納める(トランプ大統領は13億ドルと明らかにした)。いかなる緩和措置もすべて米国国家安全委員会の審査を受ける、としています。これと交換に中国政府は、米国農産物に対しての数十億米ドルの関税措置を取り消す、というのです。ホワイトハウスは、ZTE問題は司法の問題で、交渉の取引のカードではないと、”謙虚な”姿勢を見せていました。

 しかし、議会の行動は素早いものでした。上院銀行・住宅・都市問題委員会は5月22日の公聴会で、トランプ大統領が中国の大型通信設備企業のZTEに対する制裁緩和を制限することを、圧倒的多数で修正案を可決しました。この修正案はメリーランドの上院議員クリス・バン・ホーレンによって提起されたもので、上院銀行・住宅・都市問題委員会は、現在、米国外国投資委員会の改革法案を審議していると付け加えています。この修正案は、トランプがZTEに対する制裁を緩和するにあたっては、まず議会に、ZTEが米国の法律を確実に遵守することを求めています。

 ZTE制裁問題は、既に中・米間の矛盾から、米国議会との矛盾に変わっています。トランプ大統領が、民主党議員や共和党の一部の議員を説得するのは容易ではありません。

 ★トランプの複雑なプレッシャーは米国国内の事情

 私は何度もこれまでに申し上げてきましたが、トランプの最大の厄介ごとは、中国ではなく、自国内の様々な利益集団からの圧力なのです。こうした圧力は様々な方面からの相矛盾する要求ですので、米国の交渉は、いつも強気の高値から最後には右下がりの安値になってしまうわけです。

 5月22日、米国の時事・政治ネットのポリティコの発表したアンケートがあります。それによると2000人近い登録回答者中、47%が関税引き上げは、トランプ政府が予期した効果をあげ、中国経済をやっつけたと思っており、五割が中国貿易に打撃を与えたと見ています。しかし、46%は、この懲罰は米国内の消費者、とくに中産階級や低収入の米国人に打撃だと回答しています。トランプが貿易戦争を始めたのは、まさに朝鮮の核廃止の重要なタイミングで、中国の支持が極めて重要でした。今年10月は米国議会の中間選挙で、農業週はトランプと共和党の基本的政治基盤です。今回の貿易戦争で、これらの州の政界と牧場・農場経営者、企業経営者は皆、反対の姿勢です。

 米国国務省は、5月中旬に、アメリカ合衆国国務次官補(東アジア・太平洋担当)スーザン・ソーントン女史が、中国貿易代表団訪米と、トランプ・金階段への論評を発表しましたが、それは、米側が真に到達すべき目標は市場をこじ開け、参入するための門戸開放だ、というものでした。

 以上のような、こんなに複雑な多方面の要求があるということは、米中両国間の貿易戦争は、今後は一種の常態となるだろうということです。しかし、米国内の複雑な要求と米国の地縁政治から考えると、中国も不断にカードを取り替えつつ、値段交渉を行う余地がある、ということです。(簡体字版中文はここ。原文は、台湾上报,2018年5月26日,http://www.upmedia.mg/news_info.php?SerialNo=41589)

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