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★中国経済は「外熱内冷」。これは福? それとも… 2019年3月27日

Posted on March 31, 2019September 2, 2020 By minya-takeuchi No Comments on ★中国経済は「外熱内冷」。これは福? それとも… 2019年3月27日
中国 何清漣
中国 何清漣

中国2018 中国2017 中国2016 中国2015

 2018年3月から始まった米・中貿易戦争ですが、最初の半年は中国経済が衰え、中国政府自身も数々の困難があることを認めて、いわゆる構造性改革に着手しました。しかし、第3四半期末には、多くの中国の経済指標は盛り返す勢いを見せています。外貨準備規模は増え、海外投資も増加し、ホットになって来ています。対米貿易交渉でも中国の態度は日増しに強気になって来ました。

 こうした状態は、中国経済が「外熱内冷」にあると言えます。これは中国経済の未来にどんな影響を与えるでしょうか? まずその原因を分析して、果たしてこれが中国経済の病を治す福の神かどうかを判断してみましょう。

 ★外貨準備と外資増加は「三人の貴人(救い主)」のおかげ

 2019年1月末の中国の外貨準備高は3兆879億米ドルで、三カ月間連続して上昇しました。2018年11月末には3兆617億ドルで、12月末が3兆727億ドルです。中国の金融監督機構は、ずっとこの外貨準備という「灰色のサイ」(訳注1;今は静かでもいったん動きだすと手のつけられない大問題)を詳細に注目し続けて来ましたから、これでしばらくはホッとするでしょう。

 もう一つの経済指標は外国からのビジネス投資です。中国商務部の外資担当者は、2018年中国への外資投資は1349.7億ドルで、史上最高だと宣言。2019年1〜2月の全国での新たな外国資本投資企業は6,509社、実際の外資は216.9億ドルで、同期比3%増(原注:銀行、証券、保険関係は除く)

 米・中貿易戦争等の影響で、2018年の全世界の国際投資はあまり好調ではありませんでした。国連貿易開発会議(UNCTAD)のレポートでは、2018年上半期の全世界の国際直接投資総額は同期比で41%に減り、先進国では69%でした。しかし、下半期になると、これまで何度も中国の投資家たちの財産を吹っ飛ばして来た中国株式市場、さっぱり人気のなかった中国債券市場は、「外資到来の春」を迎えました。ネット信用サービス会社の匯信のデータでは、2018年の香港などから中国に入って来た「北上資金」の合計は、A株の純買い入れが2942億元で、同期比で5割増でした。中国人民銀行のデータでは中国債権市場への外資の純流入規模は千億ドルで、新興市場に流入した外資総額の8割を占めました。

  米中貿易戦争が長引いて解決せず、自国経済の成長力が欠乏している状況下で、外資流入の継続は、中国当局に大きな安心感を与えており、これは中国の資本市場がまさに国際的に認められ、キーとなる「貴人」たちの助けを得られたと見ています。

 この「貴人」というのは、グローバル資本市場の二つの株式指数編成会社と国際的な債券指数会社です。2018年の対中国経済の世界の見方が厳しい時、世界第一の指数編成企業モルガン・スタンレー・キャピタル・インターナショナルが算出する指数が、5月に発表され、正式に中国A株をMSCI指数に組み込みました。世界第二位のフッツィー・ラッセル社も続いて9月に、A株を正式に指数に組み入れました。2019年1月にはブルームバーク・スタンレイグローバル指数が、中国国債と銀行債を指数に組み込み、人民元評価だった中国債券がドル、ユーロ、日本円に次ぐ4大通貨評価対象債券になりました。ピーター・T・グラウアー ブルームバーグ会長は、中国債券がバークレイ指数に入ったことで、今後5年間に7千億ドルの外資が中国に呼び込まれるだろうと予測しています。この3大機関が自社の信用を持って中国債券市場を裏書きしたために、中国資本市場はグローバル投資社の資産配置の必須選択対象になったのでした。


 ★米国政治が国際経済のバロメーターに

 国際資本が中国をお気に召したのは、全くのところ米国国内政治が極めて不安定だからです。2018年の米国中間選挙前は、米中貿易戦争で、世界は中国市場が衰えると見て、外資は次々と中国から撤退、または撤退の意思を明らかにし、全地球規模でサプライチェーンの再編成を開始しました。しかし、中間選挙の後、米国では民主党が下院の多数派を奪回し、これによって「ロシアゲート」で、トランプ大統領を弾劾し、トランプ大統領が自ら弾劾と交換に辞職するだろうという見方が、米国メディアや政治評論の主流となりました。反トランプ派陣営がつくった「トランプ弾劾」サイトは、ずっとそう予言して来ました。

 こうした政治情勢は、中国の対米中貿易戦争への判断にも影響しますが、更に強く国際資本の判断と選択に影響を与えます。2018年、中国への主要な投資国のうち、韓国、シンガポール、米国、欧州連盟(EU)の対中国投資は、それぞれ35.6%、8.4%、44.3%、39.1%で、米国の増加が一番です。

 米国は、2018年1月、トランプ政府が30年以上で最も大規模な1兆5千万ドル規模の減税計画を発表し、これによって企業支出を増やし、就業を増やそうとしました。当時、トランプ大統領の腹づもりでは、4兆ドルの海外利潤が米国に回帰するはずでしたが、国内の政治対立の激化のせいで、第3四半期に米国に回帰したのは5713億ドルでしかなく、それも次第に減少しました。第1四半期は2949億ドル、第2が1837億ドル、第3が927億ドルで、第2四半期の半分に落ち込みました。

 共和党と民主党の対立の激化は、必然的に米国の資本投資家に様子ながめーの姿勢をとらせ、トランプ大統領の大規模な財政刺激策が、企業投資にもたらすはずだった影響に重大な影響を与えたのです。ゴールドマンサックスの研究では、2018年には資本の大部分が株式市場に流入し、米国企業の株式再購入総額は1兆ドルを突破しました。しかし、2019年1月下旬、全米企業エコノミスト協会(NABE)の四季度の企業状況調査によると、一部の企業が減税で投資を加速すると答えはしたものの、84%の回答者が、税改革は自分たちの投資、雇用計画を変えないと答えました。

 3月24日、2年間もかけて、2520万ドル、2800人を調べ、500人の証人を呼んだロバート・ムラー特別検察官の「ロシア疑惑」の捜査報告書が出されましたが、結論はトランプ氏やトランプ陣営がロシアと共謀し2016年の大統領選挙に影響を与えようとしたという証拠はないという結論でした。しかし、民主党はこれに大変不満で、更にあらさがしを続けています。
 
 ですから、私の見方は、2020年の大統領選挙の結果が明らかになるまでは、米国資本の大規模な米国回帰はないでしょう。なぜならば、民主党の、選挙民にお年玉をばらまくような社会主義選挙綱領は、税収が高くなければ出来ませんから、これは米国のビジネス界に暗い影を投げかけます。ビジネス界やハイテク業界は、ヒラリー支持の硬い基盤なのですが、彼らはバーニー・サンダースやアレクサンドリア・オカシオ=コルテス女史は嫌いなのです。トランプは嫌だが、どんどん社会主義化する民主党はもっと恐ろしいのです。

 ★中国は冷え込む国内を回復させる手立て無し

 西側の経済金融メディアの中国報道や、EUの対中姿勢を見ればわかるのですが、中国経済の発展は西側の政治家やビジネスマンから見れば、依然としてグローバル経済発展の重要な要素です。中国も、当然、西側の最終目的は中国政府を倒壊させることではなく、市場経済のまともな道を歩ませたいのだと分かっています。米国ビジネス界は、米・中貿易戦争に反対でも、トランプ大統領が中国の不公平な貿易構造を改変させようとしていることは支持しているのが、その証拠です。

 では、中国は西側の期待を満足させられるでしょうか?
 
 客観的に言えば、中国だってそうしたいのですが、出来ないのです。今年の人民代表大会で、政府は色々な政策を持ち出して、”ダムの放水”をやり(原注;銀行の預金準備率とローン金利の引き下げ、地方債発行など)、経済振興のために、税金を下げ、消費を促進し、再びインフラ建設を発動しました。

 しかし、こうした目標の効果は、いささか矛盾したものです。減税を例にとれば、2019年の2兆元減税は、確かに中国政府が経済の活力向上を切望する点では、最大の誠意を見せたと言えます。しかし、インフラ投資を増やすということは、政府支出もそれに伴って増やすということです。その他の、例えば社会保障や民生保障、軍事、治安維持など多くの支出も、皆、財政支出が必要です。更に財政赤字は、従来水準維持の規定もあって、ほとんど減税する余地などないので、最後には必然的に、税金を使う話になって、企業の税負担を軽減するのは難しいのです。

 消費の活性化も相当な困難です。中国発展改革委員会など10の委員会が出した「更に供給を促し、消費を推進し、強大な国内市場を形成する実施方案」(2019年)は、農村消費のキーです。その要点は2008年にやった消費者刺激策と似たものです。しかし、中国の富の配分は、極度にバランスを欠いており、この方案に習近平のお墨付きを与えたところで、68%の低収入人口は、依然として経済収入は困窮状態で、消費拡大にはなりません。

 インフラ建設の拡大は、もう10年前の使い古された手段に戻るだけです。長年来、中国経済の構造的な問題は、まさに飽和状態の市場と生産能力の過剰でした。2009年に4兆元を投じて、主に製造業とインフラ設備、不動産につぎ込み、その結果は新たな生産能力過剰を生み、需要と供給のバランスを崩して、「喉の渇きを止めるために酖毒を飲む」ことになりました。10年前と違うのは、10年前は、経済の苦境を不動産業によって救えました。しかし、2019年の、今回の経済刺激策は、高度にバブル化した不動産産業というこの馬は、もはや中国経済を牽引する力がないのです。ましてや、中国人一人当たりの負債は17万人民元にもなるのですから、多くの民衆には、もはや余分なお金などありません。

 およそ、世界の近代経済発展の歴史において、構造的問題が深刻化した中で、ただただ利を追う外資の導入だけで景気が良くなったなどという例はありません。ましてや、外資がどっと株式市場や債券市場になだれこんだ理由は、一国の経済を助けてやろうという理由ではなく、利益を追ってやってきたわけで、利益がなければ居なくなるのが理の当然です。米国国内政治の状況が、中国に更に20カ月のチャンスを与えてはくれましたが、この期間内に中国がもし、「外熱」を「幸運なチャンス」として生かすことができなければ、又しても苦境に陥ることでしょう。(終わり)

 

 (終わり)

 原文は、何清涟:中国经济外热内冷 是福还是病?

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