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★米国はなぜ香港問題に介入出来ないのか? 2019年8月6日

Posted on August 6, 2019June 17, 2020 By minya-takeuchi No Comments on ★米国はなぜ香港問題に介入出来ないのか? 2019年8月6日

 香港情勢はますます心配な状態になってきました。デモ参加者の訴えは既に「逃亡犯条例改正案」反対から、香港行政長官と立法議会議員の普通選挙要求に発展し、デモ隊の抗議行動も”高圧線”に触れるようになりました。警官隊もますます暴力的になってきて、中共が香港出兵に踏み切る可能性への憂慮も深まっています。多くのデモ参加者はトランプ米大統領に支援をアピールしています。「デモ参加者の死体が出ないと、西側社会は何もしないのか」と、一部のデモ参加者は感じています。

 しかし、香港と台湾は、どちらも中共からは中国の領土の一部だと認識されていますが、西側社会、とりわけ米国から見ると二者の関係は異なります。「台湾関係法」が米国の台湾に対する義務と責任をきっちり定義しているのに対して、香港はただ特別関税区待遇だけです。ですから、香港の抗議活動は、米国が必ず関与するだろうと頼ることはできないのです。

 ★西側社会の香港問題に対する二つの両極の観点

 西側(主として米国)は香港問題に深く関与するかどうかに関しては、2編の代表的な文章がありました。

 一つは、7月31日BBCの「香港は時代の最前衛に。新冷戦の焦点」で、タイトルは大げさですが、内容は主に中国の対米戦略抑止を主張してきたジョセフ・ボスコ元米国防総省中国局長が、ザ・ヒル紙(米国の政治専門紙)に書いた文章です。英国のフィナンシャル・タイムズの主任外交担当コラムニストのギデオン・ラックマンは、今回の「中国対西側が発動した新冷戦」で、香港人が「中華人民共和国へ先頭を切って対抗している」としています。

 ただ、どちらも個人的な見方が元になっていて、ジョセフ・ボスコは、香港のプロテスターは知恵と勇気を示した、米国政府も同様に頑張るべきだという考えで酢。米国や西側諸国は、先進的な通信手段を持っているのだから、香港のプロテスターに寄り添って、躊躇することなく中国指導者を名指しで批判する世論を強めるべきだとしています。

 ギデオン・ラックマンは、自らの香港での見聞から、「香港の混乱とワシントン対北京の対立との関連を容易に見て取る事ができる、多くのデモ参加者は星条旗を振っていた。中国は。きっとこれを理由に米国が香港のでもの背後にいて操っていると言い出すだろう」とみています。

 ジョセフ・ボスコの意見は個人的な期待です。ギデオン・ラックマンは、米国がとっくの昔から香港問題の背後の「黒い手」だと北京の目に映っているということが分かっていません。米国は世界のあらゆるところで、中国政府に反対する「黒い手」なのです。もしこうした非難通りに、米国が香港問題に介入するなら、米国の軍事費は少なくとも今の倍にはなっているでしょう。

 スタンフォード大学のフーバー研究所の上級研究員で著名な政治学者、ラリー・ダイアモンドは、7月24日のニューヨーク・タイムズ紙で単独インタビューに応じ、「香港の抗議戦略 — 激化に向かう危険」で、はっきりと、自分の心配を語っています。

 ;「もし、ずっとこんなことが続けば、いつか、中国の指導層が自分たちの権威と地位に対する挑発と侮辱だと思いかねない。いったん、北京が軍隊やその他の安全装置を使って情勢をコントロールしようとしたならば、不幸にして西側社会は誰も香港の民主人士を救いに駆けつけられないのだ。我々は関与できる法的根拠も能力もないのだから」と。

 ラリー・ダイアモンドの言葉は、香港のプロテスターたちをがっかりさせるでしょう。彼と似たような見方をすると、ツイッター上で悪罵嘲罵の限りを浴びせられます。しかし、私は「我々は関与できる法的根拠も能力もない」という言葉は、急所を抑えていると思います。

 ★英国は非難声明の後、音無しに

 植民地時代、英国は宗主国でした。香港の主権が中国に返還されて22年経ちましたが、何度も波乱の逆風があったにもかかわらず、英国は香港問題については、ほとんど何の態度表明も行いませんでした。しかし、この6月の「逃亡犯条例改正案」では、多くの英国の政治家が香港支持の姿勢を見せました。中国の駐英大使・劉曉明は、英国が間違った側に立っていると強く反発し、「今も香港が英国の統治下にあると思っている奴らがいる」と批判し、中国外交部も英国に、2度と間違いを犯すなと警告しました。

 その後、香港の「逃亡犯条例改正案」を支持したボリス・ジョンソンが新首相になり、いかにして欧州連合から離脱するかと言う問題に注目が移り、香港問題には音無し状態になりました。

 ★ホワイトハウスの国際問題リストにも香港はない

 6月12日、香港の「逃亡犯条例改正案」反対デモと警官隊が衝突した後、米国下院議長のナンシー・ペロシは、もし香港政府が「逃亡犯条例改正案」を修正可決したら、米国議会は、香港が「一国二制度」の下で、十分な自治が行われているかどうかを再評価し、議会は「香港の人権と民主法案」の継続が可能なのか、後者の米国との特別関係を再検討すると声明を発表。香港の特別関税区の地位取り消しという、中共の弱点を突いたものだとツイッター上では、歓喜の声にあふれました。

 ペロシの談話が発表された当日、私はツイッターにこう分析しています。

 ;香港の特別関税区の地位のことは、当然、G20サミットの交渉のカードにはなります。しかし、せいぜいカードだというだけです。それが切り札にはなり得ない理由は二つあります。一つは香港には1300社もの企業がベースを置いていること。二つには、米国の香港貿易は黒字で、米国貿易代表事務所のデータでは、2018年の米国からの香港への輸出は506億米ドル、輸入は167億ドル、米国の黒字は340億ドルもあることです。米国実業界とトランプの主要な支持者の農場主の米・中貿易戦争に対する声は、ずっと反対一色でした。自分が損をするとなれば、トランプが2期目を諦めない限り、そんな危険を冒して反対者を増やしたくはないのだ。

 後に明らかになりましたが、トランプ大統領は習近平主席との会談で、香港のことは全く言わなかったのでした。8月1日、トランプ大統領は解放軍が香港に進駐する問題の時に、香港のプロテスターが大変怒って、北京政府が大いに褒め讃えた談話があります。それは「香港は中国の一部であり、中国と香港が処理すべき問題だ」でした。

 ウォール・ストリート・ジャーナル紙は、トランプ大統領が米中貿易交渉に悪影響を与えることを恐れ、官僚、香港の抗議デモへの対応は自制的にするように求めたと報じました。

 トランプ大統領のこうした明け透けな態度は、確かに政治家として持つべき資質に欠けていますし、それに対する批判も完全に理解できます。ただ、トランプ大統領の置かれている目下の政治的な立場を考えると、香港問題介入は選択肢に存在しません。オバマ前大統領のように、空文句で支持を表明したならば、香港のプロテスターたちに、米国介入への過度の期待感を持たせ、抗議運動が更に激化したでしょう。

 トランプ大統領の置かれた米国の政治状況は、内部的にも外交的にも極めて大きな困難にあります。2020年の大統領選挙を控え、この困難は更に大きくなります。

(1)米国国内の党同士の争いは、これまでにないほど悪化しています。数年来、西側政治をウォッチングしてきましたが、民主政治の衰退の時期には「国家利益」は実は、政権党の利益に他ならず、政権党の方針によって決まります。民主社会も言ってみれば、党派の利益のぶつかり合いで、有る事無い事、嘘でもなんでもありなのです。

 トランプ大統領誕生以来、民主党はずっと弾劾を言い続けてきました。正常な状況なら、大統領が確実に違法行為を行えば当然弾劾されるべきです。しかし、現在の民主党は弾劾のために、その理由をそこら中で探しているあべこべ状態です。先には、ロバート・ムラー特別検察官によるロシアゲート調査に、2年以上の時間と3千万ドル以上の公費を使って、結局証拠は見つけられませんでした。

 7月14、15日、トランプ大統領は、自分を批判する有色人種の民主党下院議員四人に対して、「もしこの国が嫌いで、この国で幸せでないなら、出て行ったらどうだ」とツイート。これに対し、米下院は7月16日、「人種差別発言」で非難決議案を可決しましたが、乗員で否決されました。
 そして、7月27日、トランプ大統領はメリーランド州最大のボルティモア市を「全米一危険で不潔」とツイート。民主党有力黒人議員のイライジャ・カミングスの地元だけに、実際、同市が全米10大犯罪都市のトップであることには構わず、わずか2週間足らずで再び、人種差別だとして断崖署名を集めたのでした。

 (2)1年以上もやってきた米・中貿易戦争は生煮えの米飯のような状態です。何度もこれまで書いてきましたが、米国の対中貿易の戦略重点目標は、知的財産権問題を中心として、中国製造2025計画を狙い撃ちすることで、その補助手段として関税などを使っているのです。

 この方向は正しいものでした。しかし、中国政府の「耐久力」を見誤っており、米国国内の利益集団からの横やりも甘く見すぎていました。それに大統領選挙が近づいて来て、自らにとっても厳しい状況になってしまって、今のような「トラの背中に乗ったはいいが下りられない」状態に立ち至ったのです。

 そして、中共は、最初からトランプ大統領の弱点である、票田の農業州からの産品に課税する — 中西部地域の農業州の大豆や豚肉生産の農場主たちは、2020年の大統領選挙で鍵を握っており、それが近づけば近づくほど、トランプ大統領にとっては貿易戦争を早期に終わらせたい気持ちが切迫してきます。(これは★中国の大豆戦略は如何に鍛えられたか — 貿易戦争棋譜再考 2019年8月3日 参照)

 これが、トランプ大統領が香港問題で、上記のような非難を浴びるような発言をした理由です。

 (3)米国の朝野では、米・中関係については、今に至るまで激烈な論争がつづいいています。6〜7月だけでも、パンダ派(親中国派)と屠龍派(反中国派)は、公開メールを互いにぶつけ合っています。前者は、中国と良好なパートナー関係であるべきだとして、後者は中国を食い止めなければ、という立場です。6月には、民主党の大統領候補でトップを走るバイデン前副大統領は、中国は敵ではないと言いました。

 こうした状況で、香港が「新冷戦」の最先端だと言い張るなら、その人の頭の中にはもう冷戦のイメージが出来上がって現実になっているのでしょう。実際、中国側はひょっとすると、準備ができ上がっているかもしれませんが、米国はとても準備ができているとは言えません。

 米国が、現段階で香港のために出来ることは、一つには、強く非難し、注目し続けること。二つには、殺傷性のある武器を香港の警察に売らないこと。それ以上深く介入することは、どうか、ラリー・ダイアモンドの「我々は関与できる法的根拠も能力もないのだから」という言葉を信じてください。

 中国復帰して以後、22年間、香港人は自由が少しずつ失われ、法治が一歩一歩蝕まれていくのを目の当たりに見て、体験してきました。それが我慢しきれなくなってついに爆発したのです。

 全世界は皆、香港に同情していますし、香港のために、できるだけのことしたいと願っています。しかし、どう行動しようが、行動の危険は、すべて香港人の身の上に起きてしまうのです。(終わり)

 原文は;何清涟专栏:美国为什麽不会介入香港事务 
 

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