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★NYTの記事「光り輝くチャイナドリーム」ですって? 痴人の夢です 2018年11月25日

Posted on November 26, 2018November 26, 2018 By minya-takeuchi No Comments on ★NYTの記事「光り輝くチャイナドリーム」ですって? 痴人の夢です 2018年11月25日

日中両文収録「何清漣 2017中国」Amazonで発売しました;2015、2016Amazon改訳版を電子ブックで。Kindle Unlimited なら無料です。
何清漣氏の2015~2017までのエッセイ改訳版

 100年以上の歴史を誇るニューヨーク・タイムズ紙が「アメリカンドリームは中国で輝く」 で、「中国ドリームは「アメリカンドリームより偉大だ」と書いて、中国人ツイッター世界を仰天させました。しかし、よくよく読んでみると、米国人にとって重い課題となった、グローバリズムが「アメリカン・ドリーム」に与えた衝撃から生まれた視点のようです。

 ★中国社会の上昇はとっくに枯れた花

ニューヨーク・タイムズ紙の公式twitterが11月19日にツイートしたのはこうです。

 「二人の貧しく、前途に希望を持てない18歳の青年が中国と米国にいたとする。どっちが向上できるか?”アメリカンドリーム”の米国だと思うだろう?しかし今や、中国の勃興はスゴイ。遥かに米国よりチャンスは多いのだ」。

 これは記事の「アメリカンドリームは中国で輝く」に関連したツイートで、キーワードは、まさに「アメリカンドリーム」が誇った「社会的上昇」です。「アメリカンドリーム」とは何かについては、様々な説がありますが、一般に言われているのは、「いかなる出身であろうと、自分の固い決心と努力で、社会階層を上がれる」でしょう。「個人の努力次第で偉くなれる可能性」の存在こそがその核心です。

 私も米国に暮らしていますから、この見方に大いに興味を持ちました。

 この記事では、49歳の徐麗婭という人物を取り上げ、浙江省や広東省、福建省などの沿海地域のどこにでも見られる貧困な農民が富裕な中産階級家庭を営んでいるストーリーを紹介しています。しかし、記事のポイントはそういったお話自体ではなく、「中国の不断に拡大する中産階級の子女の収入は、両親の世代の収入より高い」というところです。

 これは確かに、この40年来の事実です。とりわけ1940〜1950年代に生まれた人々は、中国が極度に貧困な国から、世界第2の経済大国になるという巨大な変化を経験しています。1990年代中期に大量にレイオフ、リストラされた国営企業の労働者を除けば、中国の大多数の人々の収入は確かに、ずっと上昇しましたし、社会的地位もある程度は、それぞれ程度は異なっても上昇し、後半生は前半生より遥かに収入は上がったでしょう。

 しかし、中国のこの上流への流動現象は極めて短い間だけで、1978年から2004年前後には、もう基本的に終わってしまいました。せいぜい20数年間です。2005年に、北京大学の文東茅が「家庭背景が我が国の高等教育と卒業後の就職に与える影響について」というレポートを書きました。

 これは、全国募集された高校生と卒業生を対象とした調査で、父親の職業的地位と受けた教育程度を家庭的背景の指標にしました。その中の「家庭は行けと卒業生の就職」では、父親の職業が子供の就職チャンスやサラリー、出世の早さに影響する。俸給額だけでも、父親が偉ければエライほど、卒業生の平均サラリーも高くなる。父親が農民の場合は、経営者層の親に比べて、月給で400元から300元少ない。この調査は中国の階級が固定化されているという残酷な事実を表していました。その後、同様の調査でも、コネのない農民の子や、都市の平民の子供は就職で厳しい道を歩まざるを得ないことが分かります。

 1970年以後や1980年以後に生まれた世代は、文革を経験しておらず、サラリーは親たちの世代に比べてぐっと多くなっていますが、しかし、家や子供の教育などの支出も増え、収入の伸びを遥かに上回っています。特に1980年代生まれは、大学を卒業しても、社会的に上に登っていく道は、極めて限られているのを強く感じています。権力にへつらって突然厚遇を受けるようになった周小平(訳注;中国番ネトウヨ)のような例をもって、中国社会の上昇への道だと”証明”しようというのは、「改装固定化」という言葉が現実で中国社会に上昇ルートはなく、中国社会はますます、暴戻の道を歩んでいることを認めるのと同じようなものです。

 中産階級の増加はとっくに停っています。この階層が最も輝かしく拡大していた10年前には23%でしたが、その後ずっと縮小し続けています。2017年に精華大学の李強教授が発表したデータでは、中産階級層は19.12%です。こうした中産階級の「幸せな暮らし」は、最近中国で、猛烈に流行った「2億”新中産”は”心中惨”だあ」という文章に現れています。この記事がネット調査から出した結論は、「新中産階級は、住居、教育、父母の老齢化と病気に圧迫されて、気息奄々、焦燥の極みで、「シシトウ族」と呼ばれている、です。

 「アメリカンドリームは中国で輝く」の筆者は、こうした最新事情には些か疎いようです。

 ★「アメリカンドリーム」色あせ、青年は社会主義へと

 ニューヨーク・タイムズ紙がこうした比較をした理由は、この20年来、米国の青年世代の収入、仕事のチャンス、出世の機会が親の世代にいずれも及ばないからです。ハーバード大学のRaj Chetty、Nathaniel Hendren、ブラウン大学の John Friedmanが共同で行った「機会の平等」をテーマとする研究は、半世紀以上の米国の世代の流動性の変化と、その背後の社会的要素を探ろうと1996年から2012年の所得税申告に基づくデータを、1980〜1981年に生まれた630万人の米国人で研究しました。申告書に基づく家庭親族関係を95%まで関連付けた結果、米国社会の流動性は、過去半世紀にわたってはっきりと下降していました。1940年前後に生まれた人のグループでは、収入は親の世代の9割も上だったのです。しかし、1980年生まれでは5割でした。米国の大衆にとって、「親より良い暮らし」という一番簡単な「アメリカンドリーム」ですら、既に実現困難なのです。

 2017年1月に米国の青年組織が出したレポートによると、第二次世界大戦後のベビーブーム世代の親世代に比べて、教育水準もより高い1980年から1995年生まれの「ミレニアル世代」(Y世代)は、収入でも不動産所有でも両親世代に及びません。連邦準備制度理事会のデータを使って、インフレの要素を勘案して、2013年に25歳から34歳だった「ミレニアル世代」と、1989年のベビーブーム世代を比較した結果、ミレニアル世代の収入で中位数は4万581ドルで、父親世代より2割減でした。ミレニアル世代の純資産の中位数は1万90ドルで、ベビーブーム世代より56%も少なかったのです。住宅所有率は父親世代の46%に対して、43%でした。AP通信の社説はこれを「世代を苦しめる格差」と評しました。

この格差を理解すれば、なぜ米国のミレニアル世代の52%もの人が、社会主義国家を期待、更に6%の若者が、共産主義が最良の選択だと感じているかも理解できるでしょう。つまり、「アメリカンドリーム」が色あせてしまったのです。

 ★中国のほうが上昇チャンスが多いという誤解

 これは中国の最近の40年の社会変化による錯覚です。1980年から今まで、権力と癒着した政商関係によって、多くの「素手から企業」した世界級の大富豪がやたらに生まれ、2018年だけでも819人の億万長者がいて、米国の571人をはるかに引き離しています。中国を外から見れば、中共との政商関係なんかどうでもよく、世界大富豪リストの数を見て、中国には発展のチャンスや上昇の好機があるように見えるのです。

 いわゆる「進歩派」のイデオロギーが主流を占める米国では、それに文異を唱えるのは困難なので、「米国の青年の収入が低下し、失業者が多いのは、実は1990年代に始まったグローバリズムと同時に始まったという明らかな事実でも見逃されてしまいます。

 2016年5月に、前世界銀行の上級アナリスト・ブランコ•ミラノビッチとイェール大学のジョン・ローマーがハーバード・ビジネス•レビューで指摘していますが、グローバリズムの勢いの下で、中国とインドという発展途上国が、大変な速度で成長して、世界の不平等の度合いを縮めました。

 しかし、多くの国々の国内では、貧富の差は逆に広がってしまったのです。1988年から2011年、先進国の中・下層家庭の収入はほとんど変化がなかったし、成長の速度もゆっくりしたものでした。大多数の国々、とりわけ米国やロシアといった大国では、国内の貧富の差は激化したのです。

 グローバリズムは、1990年代のクリントン大統領後に始まりました。あの時、米国は諸手を挙げて、世界中から移民を歓迎しましたし、オバマ大統領時代は更に大きく門戸を開放しました。子供でも老人でも、とにかく来たい人は皆いらっしゃいでした。こうした大盤振舞いは、発展途上国の多くの人々にチャンスを与えましたが、米国も「るつぼ」から、「サラダボウル」になってしまいました。米国社会が予想できなかった問題は、「米国の青年はこれによって、世界中の優秀な若者との競争を強いられるようになって、就職先を探すのが大変になった」のです。

 これは、移民とブルーカラーの間の競争というだけでなく、エリート大学でも「学のある難民」を生み出しています。ニューヨーク・タイムズ紙2013年12月の報道では、ナショナル・サイエンス財団の2011年のエリート大学の調査で、35%の博士学位所持者(43%が人文系)は学位取得時に職が決まっていませんでした。一生教職に就こうという博士の望みを叶えられる人は半分にも満たないのです。

 「アメリカンドリームは中国で輝く」の記事は中・米両国の社会制度と開放の度合いという極端な差を無視して、中国が華々しい20年の動きを、米国の長い間発展して来た時代の中では短期間の流動性の下降と比較して、その少数の人々が金持ちになった早さだけを比較するという一点だけでも、偏ったもので、そこから得られる結論は間違いに近い、痴人の夢とさして変わりません。(終わり)

原文は;中国梦「焕发」是痴人解梦——解析《「美国梦」焕发在中国》

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