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程暁農★政敵、汚職官僚、権力簒奪者  2020年5月18日

Posted on May 29, 2020May 29, 2020 By minya-takeuchi No Comments on 程暁農★政敵、汚職官僚、権力簒奪者  2020年5月18日

 最近伝えられた中共の最高指導者の入獄中の政敵に対する二つの態度からその意図が透けて見える。  元上海市長の陳良宇に対しては太っ腹なところを見せ、  周永康(元中央政法委員会書記)、  令計劃(党中央書記処書記)には、  再び「彼らは最高権力を狙う者だった」と強調した。  (訳注1;陳良宇は前上海市党委員会書記、  元上海市長で2007年に収賄と職権乱用容疑で逮捕され懲役18年、  周永康は2015年6月、  汚職により無期懲役刑、  令計劃は2016年7月、  、  無期懲役刑判決を受けた)

 トップレベルの権力闘争は中共の常だが、  その70年の歴史の中で、  最高指導クラスに次ぐ「国家2級幹部以上の高官」のレベルで、  失脚したのは30人の多きになる。  それぞれに事情は全く色々なのだが、  これを分析すると「党権力の簒奪」と「最高権力を狙う者」云々というのは、  実際の罪ではなく、  下僚たちを脅かす政治的なレッテル貼りに過ぎないと分かる。 

 ハイレベルでの政敵打倒行為は、  権力争奪戦と、  不忠実な部下の追放の二つに大別され、  6種類に分かれて、  権力争奪戦に関するものがその4分の3を占める。  この6種類の高層政治闘争を分析すれば、  異なった時期の政治攻撃も、  きちんと分類した上で、  収まりがつくのだ。 

 ⑴ 中共には「最高権力を狙う者」が多いのか?

 最近、  中国共産党は、  国家副主席以上の高官が関与する同じ問題について、  2つのニュースを発表した。  一つは、  本来なら2026年に刑期満了になるはずの陳良宇・元上海市長は、  刑務所での「好成績」により、  釈放が繰り上げされて、  家で晩年を過ごすことが許された。 
 もう一つは、  中共の理論機関誌「求是」に発表された「鐘紀言」(「中紀委」と同じ発音の文字を宛てたコラム)の「”厳”を長期に渡って維持すべし」で、  この記事では牢屋にある周永康と令計劃の2人を「政治的野心の持ち主」と罪名を挙げており、  明らかにこの2人には繰り上げ釈放の望みはないことが判明した。 

 この二つのニュースは、  習近平の政敵に対する最新の意図を表している。  汚職官僚に対する寛容さと、  獄中にある元高官であっても「政治最高権力を狙う者」と再度強調している点だ。 

 中共が権力を握って以来、  権力闘争は常にあり、  全く珍しいことではない。  海外メディアでは、  中共の権力闘争は尽きず飽きないテーマだ。  毎回、  権力闘争の後には、  海外のメディアは「謎解きゲーム」に明け暮れる。  しかし、  ほんのわずかな情報の中から、  中共のひた隠しにされた権力闘争の真相を見抜くことは大変難しい。  ただ、  毎度の権力闘争で敗北し失脚した人物は公開の批判を浴びるし、  その「政治的罪名」は往々にして、  権力闘争の真相を知る上での貴重なヒントにはなる。 

 しかし、  これらの「罪名」は虚々実々、  真偽の区別がつかないものであり、  すべて特定の政治的ムードやハイレベルでの「空気」によってきまる。  いつひっくり返るかもわかったものではないので、  「政治的罪名」自体、  一層、  訳のわからないものになってしまう。 

 過去70年間、  中共は党内の高官が打倒された際に使用された政治的罪名は、  いつも異なっていた。  「反党集団」「汚職官僚」「最高権力を狙う者」といったレッテルが、  順番に使われているようだ。 

 毛沢東時代には、  上部からの文書には「反党集団」と「最高権力を狙う者」が、  民衆がよく耳にする罪名だった。  鄧小平時代には、  この二つは使われなくなったが、  だからといってハイレベルで権力闘争がなくなった訳ではなかった。  この時使われたのは「政治的間違い」というはっきりしない罪名だった。  江沢民時代には、  それが、  「汚職官僚」で、  改革開放の下では捕まった高官は、  大半が「汚職官僚」となった。  しかし、  この2年間で、  また「最高権力を狙う者」が復活した。 

 ただ、  これまで失脚したハイレベルの高官が復活してまた重用されたり、  時には「名誉回復」されて、  過去に被せられた「政治的レッテル」も取り消されたりしているわけで、  それなら当時の彼らの「罪名」は、  もともと有りもしなかったものだ、  ということになる。 

 ★⑵「国家2級幹部以上の高官」落馬の歴史

 一体どんな人物なら最高指導者の政敵になるのか?どんな人物が「政治的最高権力を狙う者」なのか?なぜ、  中共には「最高権力を狙う者」が次々に生まれるのか?こうした問題は、  中共ハイレベルの権力闘争のルールから解明していかなければならない。  そのルールを知るために有効な方法として、  中共建国以来、  落馬した高官たちとその罪名を整理して、  ルールが浮かび上がるかどうかやってみよう。 

 中共のハイレベルの権力闘争は年中行事で、  失脚した人物も甚だ多く、  「高官落馬史」には豊富な材料を提供してくれる。  このハイレベル権力闘争は、  当然、  政策決定者レベルの人物であってこそ参加できる。  中共政権発足以来の「国家2級幹部以上の高官」のレベルの高官リストをつくったら30人になった。 

 中共の規定する「国家2級幹部以上の高官」とは、  最高政策決定層の政治局委員と書記局の書記。  もう一つはその他の副国級公務員で、  例えば中央紀律委員会書記、  国家副主席、  全国人民代表大会常務委員会委員、  国務院、  中央軍事委員会、  全国政治協商会議補佐、  国家観察委員会主任、  最高人民法院長、  最高人民検察院検事長などだ。  ここでは後の方は排除した。  というのは彼らの多くは、  政治闘争の中では所詮ただの脇役であって、  中心的存在ではないからだ。 

 中共政権成立以後に失脚した政治局委員と書記局の書記は二つに分けられる。  第一は、  政治的処分を受けて復活しなかったケース。  これは例えば、  高崗、  彭徳懐、  劉少奇、  賀龍、  陶鋳、  林彪、  陳白達、  李作鵬、  呉法憲、  黄永勝、  邱会作、  葉群、  張春橋、  江青、  姚文元、  王洪文、  胡耀邦、  趙紫陽、  陳希同、  陳良宇、  薄熙来、  周永康、  令計劃、  郭伯雄、  徐才厚、  孫政才らで合計26人いる。 

 もう一つは、  政治的な処分を受けたが、  後に復活して「国家2級幹部」以上の役職に復職したケース。  彭真(第5期全人代常務副委員長、  党中央政法委員会書記)、  羅瑞卿(1977年の中共第11届中央委員、  中央軍委秘書長)、  楊尚昆(国家主席)、  鄧小平の4人だ。 

 最高指導者がこの30人の「国家2級幹部以上の高官」に対して下した政治処分には、  完全に職務を剥奪したケースと、  一部の職責を剥奪したケースがあり、  職務を完全に剥奪されるた人物は拘留されるか、  軟禁された。  そのうち1954年から1976年の毛沢東時代の22年間に失脚したのは十六人、  華国鋒時代が4人、  鄧小平、  江沢民、  胡錦濤時代の失脚は五人。  習近平時代が5人である。 

 ★⑶ お前が党を簒奪するより俺の方がマシ

 30人の「国家2級幹部以上の高官」への政治処分で、  陳希同、  陳良宇、  郭伯雄、  徐才厚は、  汚職による処分だったが、  その他は皆、  政治的な位置づけだった。  では、  彼らはみな最高指導者に挑戦する意図と行動があった「最高権力を狙う者」だったのか?

 中共の権力闘争の用語では「最高権力を狙う者」というのは往々にして「党の権力を簒奪しようとした」に関わる言葉だ。  1959年の廬山会議における政治局常務委員回で直接「簒奪」問題を討議したケースから、  その秘密をさぐってみよう。 

 1959年夏の中共廬山会議では、  彭徳懐の大躍進政策批判を巡って参加者の間で激しい議論が交わされた。  劉少奇は政治局常務委員会で彭徳懐を厳しく批判した。  劉少奇は「彭徳懐は魏延(訳注;蜀漢の武将、  諸葛孔明死後、  切られる)性格があり、  ジューコフ(訳注;ソ連の将軍、  フルシチョフと対立)の党派性、  馮玉祥(訳注;国民党軍の将軍、  李徳全の夫)の流儀を持っており(訳注;わかりにくいが当時、  この3人はマイナス評価の代表だったのかと)彭徳懐が党の権限を奪うなら、  自分が奪った方がマシだ」と発言した。 

 30名の「国家2級幹部以上の高官」で、  失脚後に「党の権限を簒奪しようとした」と非難された人物は数多いが、  中共のハイレベル会議の席上で、  毛沢東の面前でこの言葉を使っのは劉少奇しかいない。  しかし、  この会議で「最高権力を狙う者」のレッテルを貼られたのは彭徳懐の方で、  劉少奇ではなかった。 

 毛沢東の目には、  劉少奇が「党の権限を簒奪」は、  口にしただけであって罪ではなかった。  鍵となるのは「お前」と「自分」の違いで、  劉少奇の「自分」が「簒奪する」というのは、  毛沢東側に立っての発言だから、  毛沢東は気にもかけなかった。  しかし、  劉少奇が言った「彭徳懐が簒奪」の方は、  彭徳懐に罪名をかぶせることになった。  これは彭徳懐が、  毛沢東の側に立っていなかったからだ。  つまり、  大事なことはどちらにつくかである。  言葉を変えれば、  毛沢東に対立する側ならば、  全てが「最高権力を狙う者」であって、  実際に実行する力があるかどうかなど問題ではなく、  「党の権力を狙う最高権力を狙う者」にされてしまうのだ。 

 中共のトップレベルの警戒態勢というのは集中管理方式であって、  政治局員以上の高官の警護要員は、  最高指導者の掌握する警備部門から派遣されており、  警備対象にコントロールされているわけではなく、  自分の上司に報告し、  最高指導者を通じて命令が届く。  だから事実上、  中共のハイレベルメンバーは、  最高指導者から権力を簒奪できる可能性は、  事実上ないのだ。  こうして最高指導者は、  警備部門を通じて、  高官たちの一挙手一投足を把握し、  高官たちの専用電話も盗聴されているから、  仲間同士で連絡をとることもできず、  密かに密談することなど不可能なのだ。  かくして、  最高指導者にとっては、  誰かが「権力を簒奪」する心配などなく、  高官たちの全てを手中に収めているのだ。 

 ★⑷ ハイレベル権力闘争の種類

 1900年代の権力闘争は、  みな政治問題に限定されていたが、  陳希同事件からは、  腐敗罪が使われるようになった。  周永康事件、  令計劃事件では、  政治罪と腐敗罪が併用されるようになった。  実際は、  あらゆる権力闘争事件の本質はみな、  政敵の打倒であって、  腐敗罪というのはその本質を隠蔽するためだ。  中共が権力を掌握してから、  何度も度重なる権力闘争で、  政敵打倒の状況は表面的には複雑きわまるもののように見えるが、  上述の30例の「国家2級幹部以上の高官」連中の権力闘争の歴史を見れば、  一定のルールがあることが判明する。 

 政敵攻撃には、  権力争奪と不服従の二つがある。  権力争奪は、  三つにわかれる。  第一に、  最高指導さが自分の権力がナンバーツーによって脅かされると感じた時。  ナンバーツーは「権力を簒奪」する実際の行動や現実の可能性はなくても、  こうした脅威は攻撃される。  劉少奇事件や林彪事件がこれだ。 

 第二には、  ナンバーツーの権力を奪うために、  最高権力者がハイレベル高官たちのバランスを取るために、  その高官たちの希望に押されて、  ナンバーツーを攻撃せざるをえないケース。  高崗事件や、  四人組事件、  賀龍事件などがそれだ。  第三には、  トップレベルの高官の中の誰かの影響力や職権が、  最高指導者を不安にさせる場合。  たとえば彭真・羅瑞卿・陸定一・楊尚昆の「反党集団事件」、  周永康事件、  令計劃事件、  郭伯雄事件、  徐才厚事件だ。 

 この3種類の権力争奪は、  必ずしも攻撃される側がクーデターを計画していたとか、  トップの地位を奪う力を持っていたとは限らない。  またトップの政敵だったとも限らない。  しかし、  最高指導者から、  党内の潜在的な攻撃相手のシンパだとみなされており、  政治闘争が高度に注目されているなかで、  こうした連中を一撃すれば、  党内がシーンと静まり返る効果があった。  これから見るに、  「権力を簒奪する」と「最高権力を狙う者」云々というのは、  部下たちを震え上がらせる政治的なレッテルに過ぎない。 

 上述の30人の「国家2級幹部以上の高官」たちの中で、  最高指導者が権力を強固にする必要から、  失脚させた中には、  高崗、  劉少奇、  鄧小平、  彭真、  羅瑞卿、  杨尚昆、  賀龍、  林彪、  陳白達、  李作鵬、  呉法憲、  黄永勝、  邱会作、  葉群、  張春橋、  江青、  姚文元、  王洪文、  周永康、  令計劃、  郭伯雄、  徐才厚ら22人がおり、  30人の失脚者のうちの4分の3を占めている。 

 ハイレベルの政治家でもただの不服従の場合は、  大抵は「最高権力を狙う者」というレッテルは貼らない。  それもまた3種類に分けられる。  第一には最高指導者との間に重大な政策論争がある場合。  彭徳懐、  陶鋳、  趙紫陽事件などがそれで、  最高指導者は自分の政策を遂行するために、  相手を攻撃する場合。 

 第二には、  最高指導者が胡耀邦事件などのように、  他のハイレベルの者たちとの間に矛盾がある者に攻撃を加えて、  罷免する場合だ。  第三には、  最高指導者が、  陳希同事件、  陳良宇事件、  孫政才事件のように「無礼」な言動に不満をつのらせた場合だ。  この場合、  その「無礼」が前任の最高指導者に向けられたのであれば、  最高指導者は許すわけで、  陳良宇の場合がその恩恵を受けたわけだ。 

 上述の6種類のハイレベル政治における弾圧行動を分析すると、  。  だいたい、  異なった時期の政治弾圧でも、  きちんと収まるところに収まるだろう。  そして、  どの事件でも一旦失脚した者へ、  例えば、  周永康や令計劃に対して「最高権力を狙う者」とかのレッテルを貼り直すのは、  別に新しい相手がいなくても、  ただ、  官僚界を震え上がらせるためにやることだろう。  (終わり)
原文は;
程晓农:政敌·贪官·野心家?

これまでの何清漣さんの論評の、翻訳はこちら。

過去のものはウィンドウズやMacのサファリでは、句読点が中央配置になります。Macのchromeがおすすめです。なお、「拙速」でやってますので誤字、脱字ご勘弁。(電子本の方は校閲して直してあります。多分w) なお、お気付きの点がございましたらお知らせください。ツイッター → @Minya_J。

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