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”人民の社会”という華麗な経帷子の下の暗黒世界

Posted on July 27, 2013 By 何清涟 No Comments on ”人民の社会”という華麗な経帷子の下の暗黒世界

何清漣 @HeQinglian 氏ブログ

2013年07月26日

全文日本語概訳/Minya_J Takeuchi Jun

http://twishort.com/ApAdc

2013.7.27

2013年はなんだかオベッカ文章が特別多いわね。新しくでてきたのが「人民社会論」と「中共天命剛健論」というヤツ。「人民社会」論は共産文化言語に属し、「天命剛健論」というのは「党権神授説」で、「宇宙真理論」はもう「宗教モドキ」で、本来は「無神論」のはずの共産主義信仰は「神学モドキ」の域に近づいている。こうした奇々怪々な諸論の目的はみな同じで、今や「国民に支持されているという政治的な合法性」が危機的になってしまった中共の難題を新たに「理論」を献上することによって国家の危機をなんとか”解決”しようというねらい。

7月下旬に胡鞍鋼と王洪川が連名で発表した『人民社会が中国ドリームの最大の動力』という文章は中共の為に社会主義イデオロギーを利用しようという「死者の魂を呼び戻すための歌」ね。この文章は毛沢東の教典から「人民、だだ人民だけが世界の歴史を創造する原動力である」を引用し、中国の”人民社会”と西側の市民社会を比較してなんと”優越性”をひっぱりだすのだから大したもの。

”人民”というこの言葉は独裁政権政治の下でしょっちゅう使われる集合名詞の一つで、80年代の新啓蒙的知識分子によって、一般の人も独裁政権下で”人民”というのは統治者が自分の合法性を示す為の道具に過ぎないって知ってしまった。”人民の意思”とかなると、もうこれは統治者が自分に逆らうものをやっつけるためのインチキ道具だとわかっちゃった。2003年1月に私は「人民、どんな悪行でもその名の下で行えば何でもオッケー」(voachineseblog.com/heqinglian/2013/01/in-the-name-of-people/)という文を書いて、この集合名詞が共産党文化にサンドイッチされてどうなったかを詳細に分析したわ。で、今回は胡らの文が示した人民社会と現実の中国を分析するだけにしたのだけれど、その差がホントにスゴい対比をみせている。悲惨な現実と、アホらしい讃歌って点で。

胡は「人民社会は本質上、社会主義社会であって、人民を主体とし、人民の福利を保障し、人民の幸福を追求し、次第に全ての人民をみな豊かにする」と述べている。こんな”人民社会”は中共の政府の書いたものの中にしか存在しない。1949年以後、中共が権力を握ってから、人民の名の下に政治が独占され、資源と真理も独占され、人民の共同の貧しさと中共と撃ち集団の政治経済上の特権が併存してきた。1978年以後は改革の時代になって、鄧小平が「最初は少数、最後にみんなが豊かに」といったけど現実には、貧富の差はますます広がり、「みんな豊かに」なんて無限の彼方へいっちゃった。

北京大学の中国社会科学調査センターが7月に発表した「中国家庭追跡調査」は中国の家庭収入の二極化の深刻さを指摘して胡の言う「人民全部豊か説」をデータで否定している。2012年の最低辺の5%の家庭の収入の類型は、全家庭の収入合計の0.1%で、一方収入が最高レベルの5%の家庭は全家庭収入の23.4%、つまり後者は前者の234倍よ。この調査はかの有名な中国の紅色共産貴族様たちを含んでいない数字。だって連中の存在は中共の”国家機密”だからね。もしそれを考慮にいれたらもっと大変な差になるでしょう。

胡の文章(爺注;原文の”胡文”には「デタラメな」「嘘っぱちの」の意味がある)は「人民社会は人民が一家の主として家の采配を振るう社会だ」ともいっている。そんな快感を味わえるのは中共各級政府の役人だけでしょうね。9割の”人民”の本当の部分は、実際には”主人”ということに無理矢理させられちゃってるだけ。

”人民代表”が集まる”人民代表大会”とか”中国政治協商会議”はホンモノの富豪倶楽部ですよ。胡润がまとめた統計によると”人民代表大会”と”中国政治協商会議”の83人の富豪代表の平均資産は33.5億㌦(3350億円)。中国が「金権政治」だとけなす米国の下院議員と内閣の最も金持ちの83人の平均資産は5640万米ドル(56億円)。”人民代表大会”と”中国政治協商会議”に2013年参加した富豪は前年より17%増えた。中国メディアの報道でも「共産党貴族二代目」出身の”人民代表大会””中国政治協商会議”代表は毎年増加中だわ。この家柄と財産で代表になるってことは生産機構とその役割からしたら、本当の民意なんかと全然関係ないし、ましてやこれが「人民が主人」の結果だなんていえるわけがない。胡鞍鋼本人の「全国協商委員」という身分は”人民の意思”の結果よ。つまり指導者様のいうことをきく報酬、ってこと。胡は「西側市民社会に較べて人民社会は公有、公益、公平、公正の基本原則でできており」「全体の利益があってこそはじめて個人の利益がある」んだって。

中国の国家資源は名目上は”公有”だけど、実際にこれを支配出来るのは政府、公務員で、”人民”とは完全に無関係。具体的な”人民”は自分が名義上、”人民”のモノになっている公共資産の所有権、たとえば耕地だろうが住宅マンションだろうがいつも政府に”公益”の名目で奪われかねない。だからこの”公有”ってのは政府が資源を略奪するのに使われる制度上の道にすぎないってこと。千にも万にもなる土地を奪われ住宅を取り壊され、命を奪われ、重傷を負わされた”人民”がいっぱいいるのが”人民社会”なるものに公平もセイギもない証拠。

こんなやり方で実現された”全体の公利と公益”なるものは最終的に利益集団メンバーの”私利私益”を保障してるってわけ。これも2008年に私は『改革30年、国家能力の畸形的発展と酬い』で膨大な事実でもって中国政府はもうすでに自分のことしか考えない利益集団になった、と分析した。その内容は、1;社会分配と社会の福利が政府と公務員に無茶苦茶に偏っている。2;仰天する富が少数の権力貴族に。3;政治権力の分配と社会的地位の自分達のための伝承、つまり、二代目、三代目ってこと。

こんな政治利益集団の私利、私益ってのはいま、役人は死刑にならないが、民間はなるとかの死刑ダブルスタンダード制で、数億を遥かに越す汚職高官は裁判所が積極的に減刑するネタを探してくれる。これが民間の曽成傑はすぐ死刑になったけど、鉄道大臣・劉志軍は374部屋マンションもってても、死刑は執行猶予ってことね。

《胡は”人民社会の根本的特徴は”和諧社会”だと》

この連中は、中国では毎年10万から20万の群体性事件、つまり集団で街頭で訴えを起こすデモみたいな事件があって、その費用が軍事費を越える6〜7千億元なのを都合良くお忘れになったみたい。そしてあの馬三家労働教育所で苦しむ無数の人々のちっぽけな命とか、ネット世論を締め付けるとか、やけっぱちになって反抗してしまう事件だ、最近あったバスの爆発事件とか、湖南の農民が町役人に殴られたあと北京飛行場で自殺しようとしたとか、みな都合よくわすれてるのね。どこが「和諧」だっていうの?

この2人の作者どもは「人民社会の指導者は中国共産党で、ただ共産党の指導下でのみ人民社会を建設出来る」って書いちゃった。これでこの奇天烈な文章が「長々書いても、いいたいんはこの事かい」ってことがバレちゃった。つまり延々と、さんざんデタラメ積み上げて言いたいのはたった一言「共産党の永久執政」を保証したいわけ。

「人民社会」が「市民社会」より連中にとって「すぐれている」のはなぜかわかる?それは”人民”は集合名詞だから、”人民の意志”のもとでなら中共は何だって思ったことは出来るから。で、もし誰か1人が自分の利益を主張しようもんなら、その人はすぐさま”人民”の中から弾き出されてしまって”人民の敵”に今度はなっちゃうってわけ。独裁者が市民社会を喜ばないのは簡単な理由で、市民社会の市民は権利と責任の主体として存在しちゃうから。選挙とか世論とか、デモとか、自分達でグループ自由に作ってそれぞれの利益を主張しだすから、勝手に「人民の意思』とかいえなくなっちゃうじゃないの。

このエリートさんたちの”理論追求の道”というんは自分達ばっかりじゃなくて、中国現代思想史に不名誉なる記録をお残しになった、と私はおもうけどね。(終)

拙訳御免
原文は;www.voachinese.com/content/heqinglian-blog-people-society-20130725/1710172.html
何清漣氏のこれまでの論評は;Webサイト 清漣居・日文文章 heqinglian.net/japanese/ に収録されています。

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日文文章 Tags:人民の社会, 何清漣, 市民社会, 政治利益集団

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