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都市整備の名で隣組監視・密告制度復活へ

Posted on February 27, 2016 By 何清涟 No Comments on 都市整備の名で隣組監視・密告制度復活へ

何清漣

2016年2月24日

全文日本語概訳/Minya_J Takeuchi Jun

https://twishort.com/pLZjc

2月21日、新華社は「今後、外壁に囲われた住宅団地(*中国特有の壁で囲まれた寄り合い住宅)建設を禁止し、街区制度を拡大する」というニュースを発表しまし、鍋の油に水滴をぶちまけたような反響を呼びました。多くの人々の反応は「所有権に反するではないか」というものでした。あるネット友がどうおもいますかというので「みんな『囲われた住宅団地』という文字だけ注目して『街区制度拡大』の意味がわかっていない」と答えました。「街区制度」とは何かということは1978年の改革開放以前に18歳になっていた中国人で北京の集合住宅居住者以外は「街路事務所」と「居住委員会」が当時、人民独裁の権威を振りかざしてどれほど人々を苦しめていた忘れることができないでしょう。

★糖衣に包まれた”釣り針”

新華社の記事の後半に「中共国務院の都市における建設規制・管理についての若干の意見」があります。これは9章30条7900文字にわたるもので、都市環境のサービス、居住環境改善や団地内の道路のより合理的な利用、道路網の拡大、交通資源の増大などに報道の重点が置かれていました。

また学者の談話では貧富の差という観点からの分析もあり、例えば袁奇峰・中山大学教授は「外壁に囲われた住宅団地」は都市化の過程で社会の分化を加速し、貧富の差を拡大する深刻な存在だと語っています。この種の「他の市民をいれない」空間が貧乏な人々を排斥し、事実上社会の衝突を加速しているというのです。

これと教育部が最近出した「2016年都市の義務教育における入学についての通知」を一緒に読めば、確かに少数の都市下層住民や狭小住宅地区に住む人々の利便が増して、近隣のミドルクラスやハイクラスの住宅に住む人々が金を出し合って自分たちの囲まれた居住区内に作り維持してきた”公共施設”を利用できるようになり、「どの学区にも『重点優良小中学校』が行き渡りバランスがとれるようになる」ことからこの「改革」は「金持ちから奪って貧乏人を救う」い、子女を比較的良い学校で勉強させられるようになるかのようです。教育部はさらに24の都市名をあげて、これらの都市のすべての市区において100%の公立小学校、90%の公立中学校の校区をつくり生徒が入学できるようにすべし、としています。

より優秀な教育の機会が得られ、これまでは塀で囲われた住宅地域の中のプライベートな”公共施設”が利用できるようになったというこのふたつの「ニンジン」は、24都市の底辺層の住民を大いに喜ばせましたし、彼らは中産階級の「所有権に対する侵害ではないか」という批判を鼻で笑い飛ばしました。そして中国政府が2010年以来、狙っていた街道居住委員会の基層部分における改革も確かなものとなったのです。

中産階級は自分たちのお金で買った居住区の環境や優秀な学区が失われるという点に目を奪われて、「中共国務院の都市における建設規制・管理についての若干の意見」の”釣り針”に気がついていません。それは第8章の「新都市管理方式の創造」にあります。もし全部読むのは面倒だという読者は最低、この26条だけをお読みください。

;都市治安管理制度を完全なものにする。市や区、ストリート、社区の管理サービス責任を確かなものにして、都市基層部部における治安管理機構を健全なものにする。ストリート、社区の党組織の中心指導的働きと社区のサービスにおける党組織建設を以って居住民自治組織を指導し、社区の社会組織を建設する。社区のサービス機能を向上させ、政府の社会秩序管理、居住民の良き相互自治組織を実現する。情報公開を推進し都市治安管理を開かれた運営に…」とあります。ここのすべての話の重点は「ストリート・社区の党組織の指導的核心の力を強化する」と「情報の公開促進」にあります。

★中国の都市における居住委員会の政治的狙い

2010年12月に私はVOAサイトに「千年不変の隣組監視制度;五里甲制から居住委員会」を書きました。そこで習近平が居住委員会を重視したことについて、2008年に北京オリンピック指導小組の長だったときにつくった「五輪保安モデル」に言及しております。高度技術社会における社会機構として作られた北京五輪保安体制とは「6の網」からできており、街、社区、仕事先、ネット、地域警備とバーチャル空間の六つの面で「網」を貼っておくほかに、ストリート保安、住宅やオフィスビルでの前の掃除、緑化、治安要員などの積極分子による「ボランティア」をつのって「人民戦争方式」で一切の反対勢力をしょうめつさせました。この「人民戦争方式」はその師匠たる毛沢東時代に大衆を動員して敵に対抗させた知恵からきたものです。居住委員会のメンバーの教養水準は高くありませんが、政府の要求に盲従して野蛮な力を振るうことも厭わないという意味ではまさに中共の暴力による治国にはぴったりなのです。

この文章で、私は居住委員会と村の共産党委員会制度の本質は明時代の里甲制(保甲制;行政機関の最末端組織)と似ていると分析しました。明朝の規定では誰でも居住地より100里以上離れる時は所轄の政府部門から照会状、通行証に類した書類をもらわねばならず、持たないと処罰されました。これは事実上の「離郷証明」で、文革時代やそれ以前に「勤め先(単位)」や居住委員会、人民公社生産隊の「紹介状」の持っていた性質と全く同じものです。毛時代にはこれがないと宿にもとまれず、疑わしい人物として処置されました。中共政治の初期には民国時代の「保甲制」は「反動的制度」として廃止されましたが、実際は中共は都市の居住委員会と農村の人民公社は民国初期の保甲制度と源は同じであり、すべて明朝の里甲制にならっており、それをさらに厳しくしたものでした。居住委員会の権力を強めようという目的が「治安維持」であり、これは「逃げても隠れるところがない」ようにするためで、流れ者がいる場所がないようにするための制度であり、市場経済体制に必要な自由な移動とは真っ向から対立します。

そのむかし、鄧小平がやった徳政のひとつが「階級闘争を縛りにしない」ことであって、その結果、居住委員会は自分たちの地域の政治動向(実は政府の悪口の監視)をする権限を失って、関係部局に「階級異分子」を報告するという働きをなくしたので、中国人はついにやっと自宅の食卓を囲んでなら政府の悪口をいえるようになったのでしたが、いまや居住員会の力が復活すればこのみじめなほど小さな自由な空間もまた失われかねません。

★相互監視・密告組織の「居住委員会」

もないところから新たに都市を建設した深圳市は全国に率先して安全と文化のモデルケースで、多くの新しい町の小ブロック地区がありました。深圳市政府は海外視察を重ね集合住宅やマンションなどの管理会社と家主委員会が管理するやり方を参考にしました。ですから深圳に住んでいた私は管理会社と家主委員会のセットになったこの制度には詳しいのです。

後に深圳市政府は地区に居住民委員会を作ろうとしましたが、社区の意見はそんな余計なものはいらない、という意見が圧倒的でした。というのは管理会社が管理費をとって治安や日常のメンテナンス、清掃などの仕事を一括して請け負っており、居住委の仕事は一人っ子計画出産と許可証を出すだけで、結婚や離婚、パスポートの発行や香港渡航許可証などはみな仕事先(「単位」(ダンウエイ)がやってました。私が住んでいた蓮花北小区は全国の文化モデル地区で、現地の建物管理会社が娯楽活動までやっており、居住委員会は自転車置き場のそばにありましたが、何千回もその前を通りましたが一度も立ち寄ったことはありませんでした。

管理会社は住民の動向を監視する責任なぞ負ってませんでしたから、私が「中国現代化の陥穽」(*何清漣女史はこの書で有名になったが、同時に政府から睨まれ、やがて中国を離れざるを得なくなった)を書いた後、当局が私を監視しようにもブロックの管理組織を通じてはできませんで、隣に監視人を引越させてきましたっけ。でももし当時、習近平総書記の「6つの網」と「北京・朝陽区の群衆」(*この地区の住民がタレ込んでネット界の大物ツィッターらが売春などで警察に逮捕されたので、タレコミ集団の代名詞になったようだ)がいたならば、監視の仕事はまったく私に気付かれることなくおこなえたでしょうね。

「タレコミ集団」は微博やネットで嘲りの対象となっており、CIA、GPU、モサド、MI6とならんで「世界5大超級情報組織」といわれましたが、みなホンマかいな?とおもっていますね。騰訊ネットは「朝陽型タレコミ集団に関する独自調査」(2016年2月4日)によると、2015年に北京市で登録された自発的公安通報員(朝陽群衆/タレコミ屋)は13万人に達し、警察への通報は21万にのぼったが、そのうち麻薬薬物の吸引、販売に関するものはわずか851通で0.4%未満。売春に関するものもあり、例えば2013年にネットの有名ツィッタラーの薛蛮子が買春したというのがネットにあがり、さらに黄海波、王全安も槍玉にあがった。その他の99%がどのような情報だったのかは読者が想像するしかありません。

騰訊の調査は「事実上、本当の「”朝陽群衆”はつまり以前の、紅い腕章(*文革時なら紅衛兵、その後は町内会の警察役みたいなもんか?ようわからんです。写真で見るとイメージがわきますw。これ→http://ur0.link/sgqe )である」「現実の朝陽群衆はもし組織がある、というのであれば現在、大いに発展している社会治安監視体制へのボランティア希望者の群れである。そして”組織”というのは情報に耳を傾け警察に通報するもので、つまり社区の民警や俗に言う”岡っ引きの下っ引き”のようなものであるが、ただ朝陽群衆のすごいところは敵への警戒心がモーレツに強く、階下にゴミを捨てるにも用心しなければならないことである」とあります。

これを読んで私は文革時期を思い出しました。あのころの居住委員会の力はすごいもので、誰の家が外国の敵のラジオを聴いているとか、だれそれの娘は新しい服を着ている、こんなへんなことをしている、誰の家では豚肉を何回も食べた、とかすべて「階級闘争の新たな動き」として委員会の金棒引きたちによって通報される対象となりました。いまや中国の国家の安全は最高の位置にまであがっていますから、中共と政府が「国家の安全事項」をリストにしてわたしさえすれば、基層の党組織は「朝陽群衆」が見聞きした対象にむかって行動し、国家の安全を維持するために全力を尽くすことでしょう。(終わり)

拙訳御免。
原文は;何清涟:小区拆墙:“朝阳区群众”重回中国社会 http://www.voachinese.com/content/heqinglian-china-residential-area-20160223/3204400.html

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日文文章 Tags:何清漣, 密告制度, 都市整備, 隣組監視

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