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★台湾はトランプにあまり過大な期待を抱いてはならない★ 2017年1月5日

Posted on February 11, 2017July 21, 2017 By minya-takeuchi No Comments on ★台湾はトランプにあまり過大な期待を抱いてはならない★ 2017年1月5日

 12月2日、アメリカの新大統領になるトランプ氏が台湾の蔡英文・中華民国総統に電話をかけました。この行動が引き起こした大波の余波はいまだに収まる気配がないのは、米・タイム誌が、トランプを「パーソン・オブ・ザ・イヤー」に選んだのは、全く本質を捉えていたという証明です。タイム誌の編集者のナンシー・ギブズはその論評で「一体、他の誰が、これまでのルールを破壊し、従来の常識を無視し、米国の二大政党をやっつけて、百分の一の勝率で大統領選に勝てただろうか?」と言いました。

 ★トランプ・蔡英文電話の大波;ワシントンのエリートが狂った龍をかいならす

 この電話について、ホワイトハウス、国務省、シンクタンク、メディアは、どこも大変なことになるとして、全力で警告し、批判し、なんとかこのトランプという狂ったドラゴンをなだめて、言い逃れさせようとしたものです。ある者は彼が米中関係の重要性を分かってないからだ、とし、ルールを無視するのはどうしようもない彼の性癖だとかいいたてました。米国台湾協会(AIT)のブルージェ前代表はなんとか事を収めようと、VOAへの電子メールを書いて「中国は二つの方法で対処できる。ひとつは我慢する事で、これは両国政府の官僚同士の話ではないから。二つ目の方法は、中国はこれが米国台湾の関係への第一歩だと見なして、罰を与えて警告するかだ」といいました。彼は明らかに中国が慎重に考えることを望んでいます。

 現任のホワイトハウス国家安全委員会アジア事務局高級主任のEvan Medeirosは、「フィナンシャル・タイムズ」に「この電話が意図的であろうとなかろうと、トランプはこれで米中関係を長期にわたる不信と策略の競争に突入させてしまった」と言いました。

 当然、大きな意義を見出した人もいます。台湾の朝野や、米国が「一つの中国政策を放棄するのでは」と思った人を除いても、トランプにずっと反対してきたコラムニストのMarc A. Thiessenもこれには大喜びで「トランプの電話は失敗ではなく、大快挙だ」(Trump’s Taiwan call brilliant, not a blunder.)と言いました。

 ★トランプとFoxテレビのトラブルの始まり

 2016年12月11日、トランプは米国Foxテレビの取材を受けた時にもう一度、大波を起こし、北京と少なからぬ台湾人はどちらも大変な不満を表明しました。この番組で、トランプは「自分は『一つの中国政策』のことを完全に理解している。しかし、なんでそれに縛られなければならないかわからん」「米国が『一つの中国政策』を承認する必要があるのは、ただ一つの前提があって、それはつまり中国が貿易やその他のテーマで譲歩するということだ」と言いました。

 この話は北京に格好の口実を与えました。「あんたがた米国は、ずっと、世界に普遍的価値を広めるソフトパワーは決して自分たちの利益のためではないとか言って威張って来なかった? それなのに中米が合意した『一つの中国の原則』をなんと中国に譲歩を迫るコマだとかいうのか? トランプー蔡電話以来、ずっと我慢して『台湾のちっぽけなマヌーバー』だとしてきた北京もついに我慢ができなくなって、外務省のスポークス・パーソンの耿爽も定例記者会見で「台湾問題は中国の主権と領土の保全に関わる事である。もし、この基盤が傷つけられるようなことがあるなら、中米両国関係の健全で安定的な発展と、両国の重要な領域での協力はお話にならない。我らは米国の次期指導者に対して…中略…一つの中国政策を堅持するとともに中米三つの声明に明らかにされた原則を堅持し、慎重、着実に台湾問題を処理する事を促す」と言いました。中共中央の機関紙「人民日報」麾下の「環球時報」はすばやく強硬な社説を発表し、もしトランプが「一つの中国」の原則を放棄するなら、中国は米国に協力せず、米国の敵と手を結び、武力で台湾統一を行う」書きました。

 ホワイトハウスのスポークス・パーソンのジョシュ・アーネストは月曜日の定例記者会見で「米国は『一つの中国』政策を遵守尊重する理由の一つは、オバマ政府は台湾を交渉のコマとみなしてはいないからだ。台湾は圧力を掛ける手段ではなく、米国の重要なパートナーだ」と言いました。

 

台湾は米国の核心利益と無関係

 台湾にしてみれば、トランプー蔡電話は限りない想像を巻き起こし、米国が「一つの中国政策」を改めて対中強硬策に転じると思った人もいます。しかしFoxテレビの番組が放送されると、米国在住の台湾人は様々に発言し始め、ニューヨークではフォーラムも開催され、その主流となった意見は「トランプの『一つの中国政策」への挑戦は結構だが、台湾が政治的駆け引きのコマにならないことを願う」でした。

 現在すでに姿を現しつつあるトランプ内閣のメンバーから見ると、基本的には対中国強硬派で、ずっと台湾に友好的だった前国連大使のJohn Boltonが国務省の副長官として名前が挙がっています。これによって、台湾人は米国が対中国路線を変更する動きに乗じて「一つの中国政策」をやめさせることができるかもしれないと思ったり、極端な人は「台湾が米国の支持のもとに独立できるかも」果ては「独立後は『台湾共和国』か『中華民国』か」といった論議まで登場しました。

 こうした人々の楽観は以下の事実によるものです。

 ; トランプ選挙陣営のベテランメンバーのStephen Mooreが「Big John and Ray Show」の番組で「台湾は我らが盟友である。彼らは信仰の自由持っており、我々は彼らの国を支持すべきである。我々は我らの盟友を支持するべきであって、中国が気に入らなくても知ったことか(screw’em)」。

 このHeritage Foundationの経済学者は、トランプの減税法案をつくるのを手伝った人です。

 私は、トランプ=蔡電話は蔡英文の支持低下から、ちょっとの間回復させる力はあるかもしれないと思いますが、しかしもし本当に今後の台湾が「一つの中国政策」の縛りの中から抜け出せると思っているのなら楽観的に過ぎると思います。冷た言い方のように聞こえるかもしれませんが、以下の事実は台湾が直面しなければならない現実です。

 ; 米国は台湾を放棄できない。その主な理由は、かつて中国が国連加盟した時、台湾にした約束である「台湾関係法」です。この法律の一番肝心な点は、第二条第二項の「いかなる非平和的な方法で台湾の前途を決定する行動もー経済制裁や禁輸などの手段を含むー西太平洋地区の平和と安定に対する脅威とみなし、米国が深く関わる」です。

 これに対する深い解釈はつまり、中国大陸側が台湾に対して「武力統一」を行おうとする時にだけ、米国は出兵して台湾を保護することができるという意味で、米国は絶対に自分から主動的に台湾独立のために出兵できません。また、中国と台湾が自主的に「平和統一」をしようというのを邪魔立てはできないのです。台湾の馬英九政権時期には中国と台湾の両岸関係は次第に密接になって、平和統一の最後の敷石になる「貿易協定」もあわや批准の一歩手前というところまで行きましたが、米国はずっと干渉できなかったのはこの原則によるものでした。

 つまり事実ははっきりしており、「台湾関係法」では「台湾が民主制だから米国は台湾を守る」などとは言ってないのです。

 ;台湾海峡問題と米国は直接関係ないし、当然、米国の核心的利益でもない。米国が台湾を防衛するのはただ条約を履行する義務。台湾人民はだから自由に独自の意見を言える。しかし、台湾政府がこれをはっきり認識していてこそ、両大国の間にあってなんとかやっていける方法を求められるのです。

 
 

トランプの米中関係基本方針

 トランプが自分の描く米中関係の青写真の話に戻ります。大統領選挙の投票日の少し前に、トランプは自らが政権についたときのおおざっぱな輪郭の青写真を示しました。それは
;国内に向けては米国経済の建設を中心にして、国外にはイデオロギー闘争を放棄する、ということでした。

 トランプ・グループの中には中国に関する発言が最も多かった中央情報局の長官で、トランプが選挙期間中の国家安全顧問のR. James Woolsey Jr.がいます。彼は一度ならず、「米中両国はどちらもビジネスを重んじる国家であり、どちらも『どうやってビジネスをやるか』をよく知っている」と言っています。

 VOAの記者の取材に対して、中国の国内、国際問題のすべての根源だとみられている一党独裁制度に対して、ウーズレーは、米国が世界中で自由を拡大するという政策は揺るぎなくやらねばならないが、中国の複雑な社会と政治体制への理解は不断に深まり、ますますはっきりしてきたことは、中国の現行体制に挑戦するというのは大変危険な努力だということだ。米国はこの体制を好みはしないが、しかしだからどうにかしようという必要はない」でした。そして彼は「未来の数年のうちに、米中両国は文章化されない巨大な取引を行うだろう、それは米国が中国の政治・社会体制を受け入れ、どんな方法でも中国の現体制を崩壊させようなどとはしないということ。そしてその見返りに中国はアジアの現状にチャレンジしない、ということだ」と言いました。

  

米発言権がある米中関係全国委員会では

 12月15日、米中関係全国委員会がニューヨークで50周年祝賀パーテイを開きました。この組織は1966年6月に誕生しており、12月は誕生日ではないのですが、トランプが「ひとつの中国の原則」に挑戦的な言辞を発したことで米中関係が緊張した折に「誕生日」を祝ったのには深いわけがあります。
 出席した300人以上はすべて米国政界、外交界、シンクタンクのエリート、さらに中国の駐米大使などがおりました。ここで発言した人々は基本的にすべてトランプの台湾問題発言に不満を表明。元国務長官のキッシンジャーは「もし米中が協力できずに、緊張が加速するなら、世界は分裂し中国派と米国派にわかれてコントロール不能になりかねない」と警告しました。

 オバマ大統領も、トランプのFoxテレビインタビュー発言の翌日、米国政府は台湾を取引のコマで、米国が長い間維持してきた「一つの中国」政策を変えることは米国の中国の政策に影響力を増加することにはならないと述べました。再度、12月16日午後には、ホワイトハウスで記者会見し「一つの中国という概念は中国という国家の完全性の核心的価値である。もしこうした相互理解が失われるようなことがあったら、まずその結果を考えてからにしなければならない。というのは中国は、台湾問題については他の問題のように処理することは出来ないし、南海問題のようには対応しないからだ」と言いました。

 米中関係全国委員会の態度表明と言い、オバマの談話と言い、どちらも「台湾は米国の核心的利益ではないが、中国の核心的利益であり、不用意にこの問題に触れるようなことがあってはならない」という一点は大変ハッキリしているのです。

 最後に、もう一度トランプがFoxニュースの取材に対して語った言葉を思い起こしてください。

 「米国が『一つの中国』政策を承認するには、ただ一つ前提があり、それは中国が貿易や他のテーマにおいて譲歩することだ」です。

この話のすべての意味は

;「一つの中国政策」はカードであり、トランプ政府がそれを認めない、というのは台湾の独立を助けたいからではなく、中国が別の方面の交渉で米国の承認と交換になんらかの利益をよこせ」ということです。

 トランプの米中関係の基本路線と、米中関係全国委員会の代表する米国政界の主流と外交グループの態度は、トランプが台湾問題に理解を深めた後、台湾を盤上の遊び駒にして、相手の駒に対して用いようとはしないでしょう。
 
 台湾にとっても、中国大陸にとっても、あるいは米国にとっても、現在の状態を維持することが一番の選択かもしれません。(終わり)

 拙訳御免。
 原文は;台灣對川普的期望值不宜過高 http://www.watchinese.com/article/2017/22635

 「中国2015 何清漣」 電子ブック発売中。何清漣さんの「中国2015」表紙

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